おはようございます。
今日は、日本が生んだ宝物二人…内1人は先般亡くなりましたが(不束ながら御冥福を祈ります。天国でお会いした時に、あなたは大江、高橋だけとして、僕を入れてなかったよね、と一言いわれるでしょう)…の2009年、5/15週刊朝日誌上での貴重な対談の中から書き出して行きます。
大江…僕は太平洋戦争で若い日本人の天才がたくさん死んだと思う。ちょうど大学を終えた年齢で、戦争で死なずにすんだ2人が、すごい勉強を一生続けられた。大野晋さん、加藤周一さん、同じ年に生まれて、同じ年に亡くなられた。
すぐれた知識人と僕が見なす人は、使われる言葉のいちいちに、こまかくその人のお仕事や人間らしさが表れている。しかも、そこに厳密さとユーモアが共にあきらかです。大野さんの教室にいた人、加藤さんの外国の教室にいた人、たいていそこで学んだことが血肉になっています。
ウイットも。
このウイットというのは、本人の話を聞かないとなかなか伝わらないんだけれども、注意深く読めばね、両先生とも、お書きになった本に、隠し味のようにまぶしてあります。
たとえばね、大野さんの「神」というひとつの言葉を国語学的にあきらかにする本。これは丸山具男さんの本とも加藤さんの本とも、日本人の神の特殊さを教えてくださる点、共通しています。
その上で、次のような言い方などウイットにみちている。日本人は自然に対して優しいという人がいるが、日本人が自然に優しいのではなく、日本の自然が人間に優しいのだ、といわれる。そういうギャグ的な表現と、国語学の厳密な分析の日本人論が調和してるんです。
この章は…僕は太平洋戦争で若い日本人の天才がたくさん死んだと思う。
の一行を指し示してコーヒーブレイクに入ります。
大江の対談の相手は井上ひさしです。