世論の正体…週刊朝日9月17日号から。
「世論」の正体
次期首相にふさわしいのはどつち? 本誌が巣鴨・新橋で聞いてみた
国会議員票では有利と言われる小沢氏に対し、菅首相の頼みの綱は「世論」の追い風だ。だが、その実態はかなりユルいものだった。
マスコミ各社の世論調査で「首相にふさわしい人」を聞くと、おおむね菅首相が70%前後、小沢氏は十数%と大きく水をあけている。その一方で、「次の首相に何を期待するか」では、「政策の実行力」や「指導力」「諸外国との交渉力」などが上位にランクインすることが多い。
でも、これって、菅さんよりも「剛腕」と言われる小沢さんのイメージに近いような気がー。
というわけで、東京は巣鴨のお年寄りと、新橋のサラリーマン各30人に、首相に何を期待するかという先の世論調査の結果を見せた上で、どちらが首相にふさわしいか聞いてみた。
巣鴨のとげぬき地蔵にお参りに来たという80代のおばあちゃんは、「嫌い! 大嫌い! 小沢って聞くだけで腹が立つ」
別の74歳のおばあちゃん「指導力や実行力は小沢さんのほうが期待できるんだろうけど、やっぱり菅さんかしらね。ほら、好みがありますでしょう? 小沢さんは100%イヤなの」
主婦を中心に、30人中21人(70%)が「菅支持」だった。
ところが新橋では、本誌が先週号で「小沢氏を好きか嫌いか」を聞いたときは、72%が「嫌い」と答えていたにもかかわらず、今回は「小沢支持」が70%まで急騰した。
「どっちがやってもダメだとは思うけど、安定政権を目指すなら、首相にふさわしいのは小沢さんだな」(57歳男性、タクシー運転手)
「クリーンな庶民宰相の菅さんがいいけど、実行力も指導力も小沢さんが上でしょう。となると、ふさわしいのは小沢さん。これは、すごい”誘導尋問”ですね。実行力や指導力って前提を付けられたら、みんな小沢さんつて言うんじゃない?」(40代男性、会社員)
つまり、質問の仕方や、聞く相手の属性によって、「世論」のありようは百八十度違ってくるというわけだ。
ちなみに、巣鴨で「夫にするならどっち」と聞いたところ、菅氏が70・4%、小沢氏14・8%、どちらもイヤが14・8%だった。
「菅さんは奥さんがリードしてるじゃない。女の尻に敷けるほうがいいわ」(80代、主婦)
「小沢さんみたいに、引っ張ってくれる人が好きなの」(80代女性、無職)と理由はさまざまだった。
次に新橋で「倒産しそうな会社に社長として迎えるならどっち」と聞くと、
「『壊し屋』の小沢さんが社長になったら会社をつぶされそう。自分が社長でいたいために頑張ってくれそうだから、菅さんかな」(40代男性、会員)
「剛腕の小沢さんでしょう。でも、周りから『あの人を招いたのか』と評判が下がりそう(笑い)」(50代男性、サービス業)
菅氏46・7%、小沢氏53・3%と、こちらは小沢氏が上回った。
世論が移ろいやすいのは、よーくわかりました。菅さん、ワキを締めてね。
本誌・神田知子
この記事で僕が大笑いしたのは、此処には真実が有るから。
皆さま方もお笑いされたのではありませんか?
ただし、文中の黒字強調は芥川ですが、この文章は、巧まずして、
今、マスコミが作っている世論の「いかがわしさ」を言い当てています。