1年半前の彼ら…2009年4月10日号、週刊朝日より。

お家芸「足の引っ張り合い」が始まった 民主党「小沢おろし」
「あれは反小沢? それとも親小沢?」
「あれは親小沢ですよ」

 小沢一郎代表の続投表明と事件についての説明に対し、民主党議員はどう反応するのか。

注目を集めた3月27日の民主党代議士会で、前段に並んだ党幹部席の一部では、発言者が立つたびにヒソヒソと、そんな会話がなされていた。

 小沢一郎の公設秘書の大久保隆規容疑者が政治資金規正法違反容疑で逮捕されてからも、民主党内では、「これまで党内で問題が騒ぎになってコントロールが利かなくなった。我々も少しずつ成熟し、ピンチだが小沢代表の決断を見守ろうという雰囲気になっている。」(3月8日 細野豪志政調副会長) というのが党内を代表する考えで、「小沢おろし」の動きは全くなかった。

ところが、その「成熟」ぶりはすぐに馬脚を現した。3月24日の大久保秘書の起訴をもって小沢批判が噴出し、民主党お家芸の「内紛」情態に陥ったのだ。幹部らのヒソヒソ話は、そんな同党の混迷ぶりを表している。

 口火を切ったのは、やはりこの人だった。かねて小沢氏の打ち出した政策を批判したり、自民党の有力者らと会食して政界再編への布石かという憶測を呼んだりして「利敵行為だ」と党内から批判されてきた前原誠司副代表だ。

前原氏は24日の常任幹事会で、「巨額の献金を受けていた事実が明らかになり、国民の疑念が残っている中で、すんなりと了というわけにはいかない」 と、小沢氏の続投表明に異議を唱えた。

すると、仙石由人氏や枝野幸男氏らが記者団の前で続投批判をして続いた。27日の代議士会で、4人の発言者中ただ一人、事実上、退陣を求めた小宮山洋子氏も含め、いずれも前原氏を中心とする「凌雲会」のメンバーだ。

「結局、うちの党はまだまだ未熟ということだな」   
 前原氏の動きを、ベテラン議員はそう批判する。「政治家なんだから、続投が許せないというのなら、多数派を形成し、その力を背景に党のしかるべき機関で辞任を迫るべきだ。遠吠えのようにテレビカメラや記者の前で批判するだけでは、国民に民主党はバラバラだととられ、党内では親小沢派との間に確執が生じ、代表を代えても同じことの繰り返しになる。」 

このベテランの懸念どおりの事態も起きつつある。26日には小沢氏に近い落選中の元議員らが集まり、「前原と小宮山たちは党から出ていくべきだ」 という声を上げているのだ。事態を懸念する中立派の中堅議員は、小沢氏が記者会見や代議士会などで、「続投する」とか「代表として総選挙を戦う」という言葉を使っていないことを重視して、こう話す。

「小沢代表は代議士会でも‘総選挙で勝つことを基準にして今後の行動をして参りたい‘と言っている。いざ解散となって党の支持率が上がらなければ、その時にスパッと身を引く覚悟は持っているということ。我々は静かに見守るべきだ。」

また、小沢氏は24日の常任幹事会で、「今ここで検察官僚に屈するわけにはいかない」「検察も行政の一部。行政がこういう国家権力の行使をする状況を変えたい。」などと強調したという。

これを聞いていた党幹部の一人もこう語る。

「秘書の起訴を受けて24日に辞任すれば、検察に屈したことになるという意地で当面の続投を決めたんだろう。だが、検察に屈するのではなく、党のために身を引く環境ができれば、辞任はあり得る。いま騒いでも得るものは何もない。」

はたして民主党は、本当に成熟した姿を国民に見せられるだろうか。

                                 本誌・森川愛彦

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