菅政権 軽い言葉…今朝の朝日新聞4面から。
原発周囲10年、20年住めない」首相発言と説明
菅直人首相が「福島第一原発周辺は10年、20年住めない」と語ったとされる問題が、首相が発言を否定してからも波紋を広げている。
被災者の感情を逆なでする発言が間接的に伝わった例はこれまでもあった。政権の稚拙な情報発信のあり方が問われている。
■松本健一内閣官房参与が当初説明した首相の発言
(13日午後1時20分) 「土地の汚染とか農作物の問題、原乳の問題もあって、原発の周囲30ちまで避難、自主避難ということになってくると、周囲30キロあたり、場合によっては飯舘村みたいな30キロ以上のところもあるわけだが、当面住めないだろうと。これが10年住めないのか、20年住めないのかということになってくると、そこに再び住み続けるということがちょっと不可能になってくる。
(首相は)そういう人々を住まわせるようなエコタウンを考えなくてはいけない、ということを言っていた」
3時間で撤回
■松本参与が首相発言を撤回
「13日午後4時」。5分)「内陸部に新しいエコタウンをつくるということについて、(首相は)『そういう方向性だと思いますよ』とは言った。
『20年、30年住めない』と言ったのは私の発言であって、首相はそこは言っていない」
「首相はそこは言っていない」
「大変不謹慎だ。そういうことは、しっかりした判断のもとに話してほしい」
「計画的避難」を求められている福島県川俣町の古川道郎町長は14日午後、首相官邸で菅首相にこう苦言を呈したという。
自民党の谷垣禎一総裁も「地元住民の気持ちを深く傷つけ、いたずらに不安をあおる」と語った。
玄葉光一郎国家戦略相は14日、「仮に本当なら、しかるべき人が万感の思いを込めて話すべき重大な問題だ」と批判。発言内容だけでなく、発信の仕方にも問題があるという認識だ。閣内からは「松本氏はやめるべきだ」との声も出ている。
震災直後にも、首相が「最悪の事態になった時は東日本がつぶれる」と語ったと笹森清内閣特別顧問が明かしたことがある。首相は12日の会見で「そういう認識はあった」と認めた。
震災後、菅首相は情報発信を絞り込んでいる。原則1日1回のぶら下がり取材を取りやめ、ブログも最近まで休止。節目の記者会見を除けば、首相自身の言葉は、震災後に急増した参与らからの間接情報が中心になっている。政権が原発事故の収束の見通しを示さないまま、根拠があやふやな情報が断片的に伝わり、地元の不信を増幅させる結果になっている。(佐藤徳仁)