アメリカに流れ着く「Tsunami漂流物」…週刊新潮今週号から。

これから数年間、ハワイの海岸に打ち上げられるのは、津波の残骸ー。
 
アメリカの海洋学者たちは、東日本大震災の津波による漂流物が、〝北太平洋旋廻″として知られる海流にのって太平洋を横断すると予測する。ハワイ大学の研究グループは、コンピューターシミュレーションで、「第一波は1年以内にハワイの海岸に流れ着く。そのままゆっくり進み、2014年頃にカナダのバンクーバーやアメリカのオレゴン州、ワシントン州、カリフォルニア州へ。その後、ハワイへ向きを変え、さらにまたアジアへと戻る」
 
そんな長い旅になると分析するが、最終的には、北太平洋にある直径数キロの海洋ごみだまりに向かう。
 
西海岸に打ち上げられるのは、まずは風で運ばれやすい漁船や大型のガレキからとなる。その後、流れに流れ、家庭用品など小型のものが漂着する。家の屋根やタイヤから始まり、ランドセル、津波被害を受けた蔵元から流れた日本酒の瓶など。持ち主にとっては、かけがえのない思い出が、こうして異国へと届くのだ。
 
学術調査を陰で支えているのは、全米各地の何千人もの漂流物コレクターだ。
 
「過去には、太平洋沖で貨物船から落ちた数百足のナイキの靴や、子供のお風呂用おもちゃが、大量に打ち上げられたこともあった」 と、ワシントン州の海岸で、手ぐすね引いて待っているコレクターもいる。
 
しかし、先のハワイ大研究チームは、ある懸念を示した。
 
「再びハワイへ向かう第二波は、ガレキの密集度が高まり、ハワイのビーチやサンゴ礁にとって害を及ぼす恐れがある」
 
長い時を経て世界に及ぶ、文字通りの大地震〝余波″

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