ゲイツ氏、中国接近の衝撃 小型原発、競争力が一変…今朝の日経13面から。

文中黒字化と*は芥川。

知人の有力米国人弁護士は、そのニュースを聞いた瞬間「ショックで頭の中が真づ白になった」。首都ワシントンにひしめくエネルギー団体や大手法律事務所の関係者も、寄ればこの話題で持ち切りという。

米大統領予備選の陰で波紋を広げるのは、マイクロソフト創業者で大富豪のビルーゲイツ氏が先月、次世代小型原子炉の開発で中国政府と提携を検討していると認めたことだ。

構想は、自らが関与する原子力ベンチャーのテラパワーが中国の原子力事業の国有企業・中国核工業などと5年程度かけ、10億ドル(770億円)超の巨費を投じ高速炉の実用化を目指すというもの。

電力需要の急拡大をにらみ新興・発展途上国に足湯を築くのは、IT(情報技術)からET(エネルギー技術)といわれる時代の必然の流れ。米関係者が驚いたのは、中国・ゲイツという強力連合に一気に競争力の重心が移り、原発輸出の国際競争の優勝劣敗を左右しかねないからだ。

「エネルギー省などが提携の是非を問題にすべきだ」。米原発政策に関与する別の弁護士はゲイツ氏の動きに憤る。弁護士によると最近、米ベンチャー企業が開発中の次世代原子炉の設計図と、うり二つの精密図面が、中国側に流出していた事実が判明、米連邦捜査局(FB1 )も重大な関心を寄せる。ライバル中国とゲイツ氏の動向に米政府は神経をとがらす。

ゲイツ氏らが参入を目指す次世代の小型原子炉(SMR)は、出力10万キロワット程度度からと小さく、費用が安いのが特徴。しかも「安全で核廃棄物も非常に少ない」 (ゲイツ氏)。中国や中近東、中南米など成長市場への輸出はもちろん、3000社にも細分化され資金力が乏しい米中小電力会社からの引き合いを見込む。

*急に電力自由化だとかetc.を言い出した人達は、日本の未来も、このようになるのではないかとの危惧の一つ位は、持っているのだろうか。

…中略。

米エネルギー省も「原子力の重要な分野で首位を取り戻す機会になる」 (ライヨンズ次官補代理)と支援を言明。米国では多くのベンチャーなどが政府の支援を受けしのぎを削る。

例えば、小型炉メーカーのARC(バージニア州)には、ロスアラモスなど米国立研出身の著名な技術者らが多数協力。同社は日本の大手総合商社への出資要請とともに、経済産業省などへの小型炉の売り込みに余念がない。
協力関係の深さから原発事業は「もう一つの日米同盟」と呼ばれ、日本企業への影響も大きい。日立製作所はゼネラルーエレクトリック(GE)、東芝はウエスチングハウス(WH)と巨大連合体を形成する。

…中略。

「新型炉を巡る米規制当局の動きの鈍さに業を煮やした」 (日米原発業界筋)との見方もあるゲイツ氏の中国急接近。「巨象」の握手が世界に及ぼす衝撃の大きさはまだ見えない。
(ワシントン=矢沢俊樹)

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