離陸するスマホ経済圏…日経新聞1月15日11面より
コンテンツで世界狙う
…前略。
「フェイスブック」や「ツイッター」より高速で利用者を伸ばす日本発スマホアプリをご存じだろうか。ネットサービス大手のNHNジャパンが昨年6月に投入した「LINE」。
無料の通話やメールを可能にするサービスだ。日本のほか香港や台湾、さらには中東でも利用者が急増し、ダウンロード数は昨年末に1千万件を突破した。
一口に1千万というが、生半可な数字ではない。フェイスブックの利用者が1千万を超えたのはサービス開始から28ヵ月。ツイッターも26ヵ月かかったが、LINEはわずか半年で大台を超えた。年明け以降は1週間で100万件のダウンロードがあるといい、一段と弾みがついた。
…中略。
定額のパケット通信で音声通話やメールを処理するので、家族や友達との通話料が事実上タダになるのがミソ。
…中略。
世界に羽ばたけない日本のIT(情報技術)ソフトーサービス。そんな常識をスマホが変えつつある。LINEは海外の利用者が6割。パソコンの世界では米国勢が圧倒的に先行し、割り込むのは至難だったが、スマホはこれから。
…中略。
ちなみにNHNジャパンは韓国のネットサービス大手のNHNの日本法人。一方、LINEは震災を機に、日本の開発陣が創り上げた純和製ソフトで、それが世界各地で受ける。国境を意識しないスマホ時代の申し子的存在といぞるかもしれない。
…中略。
これまでITの世界で日本企業が存在感を発揮したのは、部品や素材などハードの領域に限られていた。活躍の舞台がサービスやソフト、コンテンツに広がれば、より多軸型の強じんな産業構造が日本にも定着することになる。 (編集委員 西條都夫)