「世界でトップを取る」 村上隆 1月17日、朝日新聞15面の記事から。②。
…中略。
―-欧米のほうが、芸術活動をする環境としては、日本より優れている、と。
「そうは言いませんが、欧米には、美術館の学芸員らの人材が豊富で、作品をきちんと評価し、価値付けできるメソッドがある。審美眼を備えて信頼するに足るアート市場もある。
意地悪なジャーナリズムもよく勉強していて対抗しがいがある。一方、日本は美術館はたくさんあるだけ。ジャーナリズムは印象批評に偏っており、マーケットを蔑視している。オークション会社にしても、贋作をカタログに載せていたりする」
「日本の場合、教育に目を向けても、美術大学は無根拠な自由ばかりを尊重して、学生に何らの方向性も示さない。
芸術には鍛錬や修業が必要なのに、その指導もできない。
少子化や国立大学の法人化で、学生がお客さんになってしまい、教師は学生に迎合している。
お陰で、あいさつさえまともにできず、独りよがりの稚拙な作品しかつくれない学生ばかりが世に送り出される。
先鋭的なものは何も生まれてこない。
だから、世界に出ていって通用する芸術家が日本にはほとんどいないんです」
…以下続く。