米国型経済の影映す 共和予備選 ロムニー氏苦戦…日経新聞1月24日3面より

米大統領選 効率重視に不信

米共和党の大統領候補選びで優勢だった中道派のロムニー前マサチューセッツ州知事 (64)がつまずいた。21日開いたサウスカロライナ州予備選で、保守派のキングリッチ元下院議長(68)に敗れた。

買収ファンドを率い、企業の人員削減を進めた経歴への反発が一因だ。ロム二―氏の苦戦は、ファンドが体現し、世界も追随した「米国型資本主義」の影の部分を浮かび上がらせている。

ファンドが弱点 

サービスや営業の強化、そしてコスト削減―-。東京・丸の内。米ファンド、ペインキャピタルの一室で、外食大手すかいらーくの経営改革案が練られている。

ベインは昨年11月、約2600億円を投じてすかいらーくを買収した。マネージンクディレクターの杉本勇次氏(42)は 「投資先の改革にこだわるロムニー氏の哲学は健在だ」という。

経営コンサルタントたったロムニー氏は1984年にベインを創業した。企業を変えるには、株主として経営に関与すべきだと考えたからだ。99年まで在籍し、ペインを世界五大ファンドの一角に育てた。

しかしサウスカロライナ州の予備選では、そうした経歴が弱点になった。「ハゲタカ」 「雇用を奪った」。同州が保守的で雇用が厳しい地域であることもあり、キングリッチ元下院議長側のロムニー氏への批判に人々は共感した。

投資先の価値を高めて売却益を得るのがファンド。ロムニー氏も成長力を上げるために企業の一時的な人員削減を断行した。「患者の命を救うには苦い薬も必要だ」。同氏は後に語っている。

それでもファンドに世論が神経をとがらせるのは、歴史的な経済危機を経て米国の成長モデルが修正を迫られていることの裏返しでもある。

…中略。

貪欲に働けば金持ちになれるーー。「アメリカンードリーム」で知られる風土は米経済の成長の源泉で、今なお世界中から才能ある人々を引き寄せる「光」の部分だ。

その半面、貪欲さは富の偏在という「影」も生んだ。ファンドが属する金融業界はその象徴とみなされている。

…後略。

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