西洋化?日本は「中国化」しつつある…朝日新聞2月1日13面より

道徳感情を利用する橋下流、モラルで縛る「徳治」に重なる

日本史の「新しい常識」を説く歴史学者
輿那覇 潤さん(32)

…前略。
ー今の日本が中国化していると主張していますね。
「『西洋化』したはずの日本に閉塞感が広まっているのは、その内実が『中国化』だったからというのが自分の見解です。『中国化』は1千年前の宋朝に始まった『中国独自の近代化』のことです」「宋朝で起きたのは、経済の自由化と政治の集権化の同時進行。

科挙による官僚登用の全面化で、貴族制度を全廃し、皇帝が権力を独占した。一方で農民にまで貨幣使用を行き渡らせ、市場で自由に競わせる体制にした。1980年代の英米や日本の小泉改革のような新自由主義に似ています。

トップダウンで競争原理を導入し、結果の平等を犠牲にしても成長を追求する」 -ー日本はそうした変化の面で中国より遅れていたと。

「中世に中国化の芽はありました。宋銭を使って貨幣経済の導入を図った平家の政権や、中央集権と日明貿易を進めた足利義満が典型です。でも頓挫し、規制(身分)と共同体(ムラ)で生活を保障する江戸時代の体制になった」

…前略。

--今の中国共産党は徳治をしているのでしょうか。
「あれだけ資本主義になっても、建前だけは共産主義という『道徳』の看板を降ろさないのは、ある意味で徳治の伝統が生きているともいえます。宋朝から千年間やっているから、建前と実態にギャップがある状態に国民が慣れきっているのでしょう。

日本人はその点ウブで、本気で為政者のモラルに期待して、そのつど本気で絶望しちゃうから、政権が安定しない」

…中略。

進歩ではなく反復しかない世界。それが今日の閉塞感の源泉です」
(尾沢智史)

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