「ニンテンドー・イン・アメリカ」 ジェフ・ライアン著…日経新聞2月19日22面より
任天堂の成功を米国から探る
ディズニーの「ミッキーマウス」、サンリオの「ハローキティ」など、エンターテインメント分野で成功した企業には「顔」となるキャラクターが必ずある。世界のゲーム市場で成功を収めた任天堂でいえば、恐らく「マリオ」がそれにあたるに違いない。
本書はマリオが誕生した背景から任天堂がゲーム市場でなぜ成功したかについて、米国のゲームジャーナリストがタイトルの通り、米国市場を舞台に観察した物語である。
任天堂は京都で花札などを売る老舗で、それがビデオゲーム機で変身したことはよく知られた話だ。しかし日本で一躍有名になったのは1983年発売の「ファミリーコンピュータ」以降である。
マリオの誕生は実はその2年前のことで、米国で販売するアーケードゲーム機の不良在庫をさばくために急きよ作られたキャラクターだった。イタリア男の名前で小太りの配管工は結局、国境を越えて世界中のゲームファンを魅了し、後に続く任天堂のゲーム機に多額の富をもたらす主人公となっていく。
そのキャラクターを世に出したのが任天堂の米国法人で、同社の成功を太平洋の反対側から眺めてみると、また違ったストーリーが見えてくる。
ソーシャルゲームの登場で任天堂も曲がり角を迎えているが、本書には日本人が気付かなかった任天堂の遊びの原点が描かれている。林田陽子訳。(早川書房・1600円)
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