「親切な進化生物学者」オレン・ハーマン著…日経新聞3月4日19面より
「利他行動」めぐる多彩な研究動機 《評》総合研究大学院大学教授 長谷川眞理子
人間は、見知らぬ他者に対して親切な行いをすることがある一方、自分には関係のない人間だと思えば、冷たく無関心でいることもできる。他者に対する絶対の善なるものは、果たして存在するのだろうか?
古来より哲学者たちが考察してきた問題は、生物進化の研究においても、同じく重要な問題だ。生物は、次照代に脚製を残さなければ消えていく。榎製が残されるのはどのような性質か?個体間に競争が存在する限り、それは、競争に有利な性質であるはずだ。
他者を助ける利他行動は、競争に有利な性質として進化することが可能だろうか?本書は、生物学における利他行動の進化の考察を歴史的に追ったものだ。ロシアの無政府主義者、クロポトキンから、現代進化学の大御所のハミルトンまで、登場人物は多彩で数多い。
その中心となるのは、アメリカ人のジョージ・プライスである。天才的な数学者で、のちにロンドンに渡り、進化生物学者のジョン・メイナード=スミスとともに、ゲーム理論を駆使して重要な功績を上げた。彼の主たる関心も、利他行動の進化にあった。
しかし、ずいぷんと変わった人物で、家庭的にも恵まれず、最後は、持ち物をすべて貧者に与え、ホームレスとなって自殺した。利他行動の進化に関するプライスの業績は、その方面の専門家にしか興味がないかもしれない。
本書の著者の目的は、しかし、その解説にあるのではない。プライスをはじめとする多彩な登場人物が利他行動の進化の研究にたずさわった動機が、無意識にせよ、各自が持つ宗教的信念、政治的理想、家庭内の葛藤、生い立ちからくる自然観などの中にある、ということを示すのが目的なのだ。
それはその通りだろう。科学の研究は、純粋に科学的興味のみから為されているわけではない。しかし、個々の科学者の研究の動機が何であれ、科学研究の結果は、最終的に実証性によって判断されるのであり、結果がその動機によって左右されることはない。本書の読者が、その区別をつけてくれることを私は望みたい。
(垂水雄二訳、みすず書房・4200円)
▼著者はイスラエルのバル・イラン大教授。ヘブライ大やハーバード大、オックスフォード大で歴史学と生物学を修め、生物学史などの教べんをとる。
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