「ブーメラン」マイケル・ルイス著…日経新聞3月4日21面より
日米の苦境映す欧州危機を点描 編集委員 小平龍四郎
金融政策は一つだが財政はばらばらであることが、欧州統一通貨ユーロの構造的な弱点とされる。『世紀の空売り』で複雑な米金融市場に切り込んだ著者は続編といえる本書で、欧州はお金に絡む文化や国民性も千差万別であることを執拗に訴える、国全体が巨大なヘッジファンドのようだったアイスランド。
賄賂まみれの公務員がストライキに明け暮れるギリシャ。不動産バブルの崩嶼で金融立国の夢も消えたアイルランド。米国の人気ノンフィクション作家は欧州各国を駆け足で巡り、驚くべきエピソードを次々に発掘していく。
ギリシヤを取り上げる筆致は、特に辛辣だ。離職の決まった医師はペーパータオルからおむつまで持ち出せる限りの備品を抱えて去っていくのが常で、無駄遣いと横領の線引きもない。
政府高官は退職時に数億ドルの豪邸に加え、別荘を2、3軒買えるほどの財産をためこんでいる……。ドイツについては経済社会の二面性が描かれる。国民は住宅バブルに踊らなかったが、一部の金融機関は投機的な証券化商品への投資にのめり込んだ。
米経済の破綻に賭けた「世紀の空売り」の主な買い手の一人は、ドイツにいた。ドイツ的な二面性を理解するため、著者は排せつに関する独語慣用句の多さに注口する。奇抜な着想で興味は引くものの、残念ながら実証的な説明に欠ける。
そうした印象批評的な手法は、欧州を理解する態度として浅いと感じる読者もいるだろう。物語を面白くするための手法と割り切って読むことを勧める。「あなたの中の内なるギリシヤ」と題された最終章では、米カリフォルニア州ヴァレーホ市の「憐れむべき」公共サービスの実態が描かれる。
欧州の金融危機は米国にはね返り、地方経済を苦境に陥らせている。本書表題に込められたのは、そうした米社会への警鐘にほかならない。南欧以上に重い政府債務を抱える日本にも、欧州から「ブーメラン」が飛来する可能性がある。そう考えると、著者が戯画のように描く欧州危機のスケッチが改めて生々しく迫ってくる。
(東江一紀訳、文芸春秋・1400円)▼著者は60年生まれ。ソロモン・ブラザーズ勤務を経て作家に。
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