さっきまで、心行くまで堪能して来た平安神宮の桜の事である。
結構くたびれて乗っていた新快速の車中で朝日新聞を読んでいたのだったが、社会面に載っていた、昨日の、祇園の事件で、ご主人を亡くした奥さんの言、
千葉県八千代市の小池賢次さん(77)は、妻チセさん(74)と京都観光に来ていた。
平安神宮で桜を楽しみ、夕方の新幹線で千葉に戻るためJR京都駅に向かう途中だった。
「きれいだったねえ」。
平安神宮の桜を見て、そう語り合ったのが最後の会話になった。
「夫は何の落ち度もないのに、どうして。この後、どうして生きていったらいい」。
チセさんは病院で、涙ぐみ声を震わせた。
…4/13、朝日新聞33面から。
私が、さっきまで、心行くまで堪能して来た平安神宮の桜の事である。

2012/4/13、平安神宮・神苑にて。