中国のイラン囲い込み戦略
制裁解除直後、真っ先にイランへ駆けつけた習近平。
日本や欧米が動き出す前に、中国はすでに「包括的戦略関係」で囲い込みにかかっていた。
その背後にあるのは、「一帯一路」とエネルギー覇権の計算である。
日本や欧米がイランとの関係強化に向けた動きを活発化させることが予想される中、
2016-01-24
以下は前章の続きである。
※題字以外の黒字強調は私。
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中国、イラン成長囲い込み
首脳会談 5年後、武器輸出おう
【北京=川越一】
中国の習近平国家主席は23日、核問題に伴う経済制裁が解除されたイランを外国首脳として真っ先に訪問し、
「包括的戦略関係」を構築することで既得権益の確保を図った形だ。
中国メディアは、イランを
「中東で最も発展の潜在力を秘め、最後の新興経済大国になる」
と評している。
日本や欧米がイランとの関係強化に向けた動きを活発化させることが予想される中、
中国には制裁下でもイランとの協力を続けてきた自負がある。
6年連続でイランの最大貿易相手国の座も維持。
中国がシルクロード経済圏「一帯一路」構想を打ち出してからは、さらに連携を強めてきた。
習氏はイラン紙への寄稿の中で、
「イランは東西アジアの交通の要衝で、その優位性は明らかだ」
と述べた。
資金調達を請け負ってでも高速鉄道を整備するのは、
エネルギー資源確保に加え、「一帯一路」構想を強固にするため、
欧米諸国の“誘惑”からイランを守る意図もありそうだ。
新興5カ国(BRICS)の経済が減速する中、成長が見込まれるイランを自陣に引き入れることはプラスになる。
イランが5年間、合意事項を順守した際に武器輸出が解禁されることを見越し、
「油田の利権と交換に大量の武器を売却できる」
とそろばんをはじく中国メディアもある。
(1面参照)