サンゴ事件の真の犯罪性 ― 写真よりも危険だった「文章の罪」
サンゴ事件は写真捏造だけで語り尽くせる問題ではない。片岡正巳氏の指摘を踏まえ、朝日新聞の「文章表現」に潜む、より巨大で見えにくい犯罪性を検証する。日本人全体を貶める価値判断と精神構造こそが、報道犯罪の本質であったことを明らかにする。
しかし、この文章が持っている巨大な犯罪性の方は、注意して観察しないと分からない。
2016-01-17
以下は前章の続きである。
① サンゴ事件の真の犯罪性。
ところでサンゴ事件の記事は、別に写真だけの記事ではない。
写真のキャプション以外にも、文章の部分があるのである。
この文章については、片岡正巳氏が『日本から朝日新聞が消える日』(1991年1月、閣文社)で、サンゴ事件を問題にするとき、外ではほとんど取り上げられていないのではないだろうか、と指摘している。
写真の捏造は、極めてわかりやすい簡単な話である。
しかし、この文章が持っている巨大な犯罪性の方は、注意して観察しないと分からない。
私は、そこにこそサンゴ事件の意味する、朝日新聞による報道の犯罪の本質が見いだせると思う。
したがって、文章そのものについて問題点を指摘しておかなければならない。
そのために以下、文章の全文を引用することにする。
これは一体なんのつもりだろう。
沖縄・八重山群島西表島の西端、崎山湾へ、長径8メートルという巨大なアザミサンゴを撮影に行った私たちの同僚は、この「K・Y」のイニシアルを見つけたとき、しばし言葉を失った。
巨大サンゴの発見は7年前。
水深15メートルのなだらかな斜面に、おわんを伏せたような形。
高さ4メートル、周囲は20メートルもあって、世界最大とギネスブックも認め、環境庁はその翌年、周辺を、人の手を加えてはならない海洋初の「自然環境保全地域」と「海洋特別地区」に指定した。
たちまち有名になったことが、巨大サンゴを無残な姿にした。
島を訪れるダイバーは年間3,000人にも膨れあがって、よく見るとサンゴは、水中ナイフの傷やら、空気ボンベがぶつかった跡やらで、もはや満身傷だらけ。
それもたやすく消えない傷なのだ。
日本人は、落書きにかけては今や世界に冠たる民族かもしれない。
だけどこれは、将来の人たちが見たら、80年代日本人の記念碑になるに違いない。
百年単位で育ててきたものを、瞬時に傷つけて恥じない、精神の貧しさの、すさんだ心の…。
にしても、一体「K・Y」ってだれだ。