福島原発事故「最大の戦犯」は米国だった ― 朝日新聞が隠したGE原子炉の致命的欠陥
福島第一原発事故を「東電の想定ミス」にすり替え、GE製原子炉という本質を意図的にぼかし続けた朝日新聞の重大なミスリードを、高山正之が鋭く告発する。応力腐食割れなど数々の欠陥を抱えた完全な欠陥炉を放置したGEの責任、日本の技術者たちが必死に改良してきた真実、そしてそれらを覆い隠した反原発デマの構造を明らかにする衝撃の証言記録。
福島原発事故「最大の戦犯」は米国である。
3.11から丸2年、朝日新聞に少し意外な記事が載った。
東電福島原発に駐在していた元GE責任者へのインタビューである。
なぜ意外かと言えば、朝日は震災直後から一貫して、事故を起こした原子炉がGE社製である事実を意図的にぼかし続けてきたからだ。
例えば、発生直後の原子力担当編集委員・竹内敬二による「甘い想定」という記事。
「格納容器には弁は『日本では炉心溶融が起こらない』として装備されていなかった。
海外の動きにおされて導入した弁が今は命綱になった。
当初の事故想定がいかに甘かったかを示している」。
これだけ読めば、まるで原子炉は日本製で、ガス放出弁すら付いていなかったかのように錯覚する。
しかし炉は紛れもなくGE社製であり、弁はスリーマイル事故を見て東電が取り付けたものである。
「想定が甘かった」のはGE社であるにもかかわらず、朝日はあたかも東電の想定がなっていなかったかのように仕立て、それ以後の原発廃止デマの根拠にしてきた。
それを今になって、実はGE社製でしたと書く。
もう世間は忘れただろうと判断し、こっそりミスリードを修正しようとしたのだろう。
そして、そのインタビュー内容がまた凄まじい。
GEの責任者は沖縄生まれの日本人で、基地反対闘争に青春を燃やし、のちに船員をしていてGEに拾われた。
熱中性子も臨界も知らぬまま、沸騰水型原子炉(BWR)の専門家になった人物である。
こんなことで本当に大丈夫なのかと誰しも思うが、彼は「福島の炉はGEの設計ミスも含め、いくつかの異常事態を経験した」と明かしている。
事実である。
中でも応力腐食割れは酷かった。
高圧蒸気の配管や炉心を包むシュラウドが次々に割れ、放射能漏れが発生した。
発電用タービンも破断し、燃料棒の被覆管も破損した。
要するに、完全な欠陥炉だったのである。
炉は運転不能になったが、GEは何もしなかった。
それで東電と東芝など日本のメーカーが協力して解決に当たった。
朝日が「ムラ」と蔑称する、あの技術者たちである。
彼らは、応力腐食が炭素量の多いステンレスと溶接工程に原因があることを突き止めた。
割れるタービンも鋳型成形をやめ、日本の技術を生かした削り出し一体型に変更した。
この改良の最中に、今回最悪の事態を回避したガス放出弁も取り付けられた。
見かけ以外はすべて日本製になったGEモデルの原子炉は、その後、3.11の大津波に襲われるまで、故障を知らなかった。
しかし、このインタビューではそれには一切触れず、「原発は危なくないのか」と記者が意図的に誘導し、「東電がいかに安全に無関心か」をGE駐在員としての苦悩として語らせている。
「BWRは熟練していないと対応できない。
五感を研ぎ澄ませ、配管に触れ、振動や温度に異常がないか確かめることもあった」。
だが、彼が確かめた配管は、すでにすべて安全な日本製に置き換えられていた。
米国人の嘘つき体質がすっかり身に付いた口ぶりである。
彼が触れない、もう一つの重大な問題がある。
なぜGEは、応力腐食割れという致命的欠陥を、無責任に放置したのか。
この稿、続く。