それを作り出すことができるのは国家権力でもネットでもない――風評という“悪”を生む真犯人はマスコミ権力である

福島原発事故後の「避難いじめ」問題を、酒井信彦氏は大人社会――特にマスコミの誤報・過剰報道が作り出した“風評”が原因だと指摘する。歴史問題と同じ構図で、中韓に政治利用される情報の汚染を除去すべきだと論じる。

それを作り出すことができるのは、国家権力でも、ネットでもなく、マスコミ権力以外にはない。
2017-02-21
以下は日曜日の産経新聞9ページの小欄「新聞に喝!」からである。
この元東京大学史料編纂所教授酒井信彦氏の論文もまた、新聞紙面の小欄にこそ真実が掲載されている例の一つである。
古館が司会をしていた頃のテレビ朝日の報道ステーションなどこそ、この論文が指摘している、いじめの根本である事を古館や朝日新聞は知らなければならないのである。
この論文が明らかにしている事もまた、似非モラリズムが、悪を作り出している事の証明である。
国に対しては従軍慰安婦、南京大虐殺、子供に対しては原発いじめ。
古館よ、朝日の社員たちよ、いかに貴方達が二流の人間達であるとしても、もういい加減、自分たちが犯し続けて来た悪に気づかなければならない。
その責任を取る事を考えなければならないのである。
題字以外の文中強調は私。
子供たちが避難いじめに遭う理由
元東京大学史料編纂所教授酒井信彦
最近ずっと話題になっている問題に、東京電力福島第1原発事故で他県に避難した子供たちが転校先でいじめを受けたというものがある。
昨年11月に横浜市の中学生の例から発覚し、生徒の手記も公表された。
それによると、中学生は黴菌扱いされ、「賠償金が入ったから」と金銭を要求され、150万円を取られた。
しかもそれは、かなり前の小学生時代から続いていたという。
その後、「避難いじめ」の事例は続々と判明し、新潟市、東京都千代田区、川崎市、千葉県などで報告されている。
東日本大震災から間もなく6年になるというのに、今頃問題になっているのは、まことに不思議である。
いじめの口実はいろいろあるだろうが、原発問題というのは、やはりきわめて特異である。
この場合、子供のやることは大人のまねをしているのであって、この点に注目している2月7日の産経新聞「主張」はそれなりに評価できる。
「『放射能がうつる』など、いわれなき悪口で傷つける。
被災者の痛みを知らぬ卑劣な行いだ。
その責を子供だけに問うことはできない。
根拠なく原発事故の影響を不安がり、風評をあおるような大人の行動に、根っこがあることを認識すべきである」と指摘している。
この「主張」には、避難いじめの背景に「大人の行動」があるとし、また末尾で「新聞などメディアを含め差別と偏見を許さない社会をつくることに心したい」とある。
だが、やはり最大の責任があるのは、新聞、テレビ、出版社などのマスコミではないのか。
マスコミはこの問題で、教育行政の側の対応をしきりに批判しているが、そもそも原発事故の被害を過度に危険視する報道が、避難いじめの根本にあるからである。
この「主張」にも「風評」「風評被害」が言及されている。
ただし風評は自然現象ではない。
それを作り出すことができるのは、国家権力でも、ネットでもなく、マスコミ権力以外にはない。
日本のマスコミが誤ったニュースを流し、中韓が政治的に利用するという構図は、歴史問題と同じである。
2017-02-21
以下は前章の続きである。
原発事故に伴う風評被害としては、外国による日本農水産物の輸入禁止問題がある。
特に、近隣諸国の中国、韓国、台湾は、厳しい輸入禁止措置をとり続けている。
これも外国を巻き込んだ立派な風評被害といってよい。
しかも、中韓両国の場合は、意図的な政治的対応であると考えざるを得ない。
つまり、中国がフィリピンのバナナを輸入禁止にしていたような。
日本のマスコミが誤ったニュースを流し、中韓が政治的に利用するという構図は、歴史問題と同じである。
心あるマスコミには、誤った風評を是正する報道にこそ力を発揮してもらいたい。
つまり、除染が必要なのは土壌だけではない。
原発事故をめぐる情報の汚染も除去しなければならないのである。
〈さかい・のぶひこ〉
昭和18年、川崎市生まれ。
東京大学大学院人文科学研究修士課程修了。
東京大学史料編纂所で『大日本史料』の編纂に従事。

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