「政治は感情で判断してはいけない」――福島を招いた致命的な感情政治
福島第一原発事故における水素爆発の真因は、技術ではなく政治の感情的判断にあった。
東電社長の帰京を阻止した防衛大臣北澤俊美、パフォーマンスを優先した菅直人首相、そしてそれを免罪するメディアの欺瞞を告発し、「政治は感情で判断してはならない」という言葉の空虚さを暴く。
今週の名言として、この男の言葉として「政治は感情で判断してはいけない」と大書しているのである。
2017-02-11
以下は前章の続きである。
福島第一原子力発電所で水素爆発が起きたのは、当時の民主党政権に大きな原因があった事を、私は世界で最初に書いた人間である。
菅直人政権の対応の酷さの全てに、大きな原因があったのである。
東北地方太平洋沖地震が起きた時、不運な事に東電本社には会長も社長もいなかった。
つまり、会社の意思決定者である二人が不在だった。
会長は中国を訪問中だった。
社長は関西に出張中だったから、何とか緊急の帰京を試みた。
最終的に名古屋に辿りつき、小牧空港から自衛隊のヘリで当日中に帰京しようとしていた。
この時、福島第一原子力発電所で起きている事に対応するのに、最も重要な男を、信じがたい感情論で小牧空港に引き返させた男が、当時の防衛大臣北澤俊美である。
「一民間人が、この非常時に自衛隊のヘリコプターを使用しているとは不届きだ、即刻引き返せ」と、彼は命令したのである。
現場は、ベントを開放するしか方法はないと思っていたが、社長不在で決定がなされていなかった。
翌朝、菅直人首相は、退陣が決定的だった情勢が一変していたから、ここで更に国民に印象付けようとしたのだろう。
日本中、世界中の誰もが状況を報道で知っていた中、ヘリコプターで現地に向かった。
その機内での様子を、同乗させていたテレビカメラで国民に放映させながら。
私の故郷の閖上が津波に襲われ、浸食されていった様子は、当日に日本中、世界中の人間が、二度と忘れる事が出来ない惨状として知っていたにも関わらず。
私は、この時、この男、菅直人という人間は史上最低の男だと、憤怒を覚えたのである。
首相が来る。
社長はいない。
ベントの開放が出来るわけもない。
ベントの開放を行えば、空中に放射能が発散される事は免れないからである。
今週号の日経ビジネスは、巻頭に上記の北澤俊美の談話を掲載しているだけではなく、掲載記事の中から、今週の名言として、この男の言葉として「政治は感情で判断してはいけない」と大書しているのである。
私は、朝日新聞を筆頭にしたメディアの、酷さに、その出鱈目さに、心底、呆れた。