事実という灯を掲げよ――日本の名誉回復という長期的国益
日韓合意の成果を、日本の名誉を回復し守り続ける長期的国益へと結び付けなければならない。そのために不可欠なのは、政府直轄の情報発信体制と「事実」という最大の武器である。キリストと空海の言葉を通して、真実が暗闇を消し去る力を論じる。
2016-02-06
以下は前章の続きである。
※*~*は私である。
その成果を、日本の名誉を回復し、守り続けるという長期的国益に繋げなければならない。
そのためには、政府直轄の情報発信の仕組みが、どうしても不可欠だ。
日韓両政府は「互いを非難・批判しないこと」を決めたが、事実の発信は韓国政府への非難には当たらず、合意によって妨げられるものではない。
日本には、「事実」という最大の武器があることを忘れてはならない。
キリストの言葉に、「暗闇を部屋から掻き出そうとしてもキリがない。それよりも一つの灯をつけなさい。部屋が明るくなれば、暗闇は自ずと消えるだろう」というものがある。
この灯こそ、真実、事実の力であろう。
*私はこの箇所を読んだとき、櫻井さんは私の論文を読んでくれているのではないかと感じた。櫻井さんは確かクリスチャンだったと思うから、キリストの言葉で表現したのだが、これは私が東寺の「今月の言葉」で知った、空海の悪に対する考え方と全く同じだからである。
空海は、悪は無くせない、悪は存在している、ならばどうするか、善行を叩き込むのだ、悪が存在する隙間を埋め尽くすのだ、と言った。私は彼に鼓舞されて書き続けているのである。*
今回の合意を、「政治・外交的には」といった留保なしで評価できるものにするために、合意を行った安倍首相は、「情報発信」と「名誉の回復」という大きな責任を負った。
その課題を成し遂げるとき、初めて日韓合意は本当の「合格点」に達するのではないだろうか。