精神の矮小化が産業を滅ぼす――日本衰退の構造
日本は大国になるべきではないという言説は、精神の矮小化を通じて産業の衰退を招いてきた。韓国・中国の国家戦略、サムスンの台頭、日本の電機メーカー群の没落、孫正義とトロン潰し、原発問題に至るまで、日本の国益がいかに削がれてきたかを連続的に論じる。
2016-02-07
以下は前章の続きである。
彼は、やたらにドイツの名前を持ち出すだけではなく、田原や古館などの司会者から意見を求められると、必ずこう言っていたのである。
日本は大国に成るべきではない。東南アジアの一画で……。
韓国や中国が、彼の意見のような阿呆なことを考えていたわけがないことは、今の中国を見れば一目瞭然だろう。
それどころか彼らは、この男のような、利用するのに都合の良い存在を使って、日本を矮小化させた。
矮小化された精神は、やがて産業の衰退をもたらすのである。
日本に長期デフレを作らせ、その間に国家が猛烈に為替操作を行い、特定企業にあらゆる便宜を図った。
その結果、サムスンは、日本が世界に誇った電機メーカー九社の合計利益を、二千億円以上も上回る現実を作り出した。
これらの企業群が、十万人単位の従業員を抱え、関連企業を含めれば膨大な国民を雇用してきたことは既述の通りである。
電機メーカー群を苦境に陥れるのに、もう一人、孫正義という人物がいる。
彼はビル・ゲイツと組み、坂村健のトロンを葬った男である。
今、東芝は倒産企業であるかのように米国の格付け機関から格下げされている。
だが、米国もいい加減にした方が良いのである。
この東芝の苦境をもたらしたのも孫正義だったことを、日本国民の多くは忘れているだろう。
この稿続く。