谷崎潤一郎と棟方志功――「鳥を呼ぶ人」が再確認した巨匠の位置
日経新聞の谷崎潤一郎特集で大きく掲載された棟方志功の作品に驚かされた。鳥を呼ぶ人としての私の世界で「大御所」と形容された画家が、谷崎と深い交流を持っていた事実は、日本芸術史の奥行きをあらためて示している。
2016-02-09
日経新聞の日曜日の美術特集は、先週から谷崎潤一郎の大特集を掲載している。
昨日は、彼と画家たちの交流を主な内容にしていた。
その記事を読んで、私は驚いた。
見開き特集の二ページ目に、棟方志功の絵が大きく掲載されていたからである。
先日、嵐山の中之島公園でツグミの一群を撮影していた時、同行していた親友が、私はもはや向こう側の人のようだった、と形容したことは既述の通りである。
前々日、私の口笛が近来まれに見るほど絶好調で、嵐山中に鳴り響いていたことが、ツグミを呼んだのだと今は確信している。
後日、京都市内を歩いていた時、親友は私を宮沢賢治『銀河鉄道の夜』の登場人物である「鳥捕り」に例えた。
「松岡修造もその気配があるのではないか」と彼は言った。
私は苦笑しながら同意した。
その後で棟方志功の話になり、私は真顔で「それはもう大御所だよ」と答えた。
もはや鳥を呼ぶ人である私の世界で大御所と形容された彼の絵が大きく掲載されていただけではなく、谷崎潤一郎と深い関係が在った事を初めて知って、私は驚いたのである。