中国の高官はこう語っている。「我々にとって最も好都合な日米同盟は、ここぞという絶妙の瞬間に機能しないことだ」と。
中国は日米安保条約第5条が発動される正面衝突を避けつつ、尖閣諸島の領有権を奪取する戦略へと移行しつつある。抑止力の限界と、中国が決して諦めない「核心的利益」という認識を踏まえ、日本政府が今後直面する現実を警告する論考。
中国は今後、安保条約「5条」が発動されない形で領有権を奪取する戦略をとってくるだろう。
2017-03-12
以下は前章の続きである。
前文略。
施政権を守れなければ……
さて尖閣について、今後、政府は何をやらなければならないか。
少なくとも、政府はこれで安堵している場合ではない。
なるほど、尖閣諸島への中国の軍事的介入に対する抑止力が高まったことは間違いない。
中国は米国とは決して事を構えない。
力の信奉者である中国は、自らの軍事力がいまだ米国のそれに遙かに及ばないことを誰よりもよく認識している。
したがって、「5条」の対象になるような行動は控えるはずだ。
だからと言って、中国は今後、尖閣に一切手出しをしないかというとそれは大きな間違いである。
中国は尖閣諸島を「核心的利益」と位置づけている。
「領有権の奪取」を決して諦めることはない。
中国は今後、安保条約「5条」が発動されない形で領有権を奪取する戦略をとってくるだろう。
中国の高官はこう語っている。
「我々にとって最も好都合な日米同盟は、ここぞという絶妙の瞬間に機能しないことだ」と。
この稿続く。