そんな不確定な国に、フランスの運命を預けるわけにはいかない— ドゴールの現実主義と日本の自主防衛 —
ドゴール大統領の「核の傘は機能しない」という現実主義を起点に、伊藤貫氏の指摘を通して、米国の核抑止の不確実性と、日本から自主防衛能力を剥奪し続ける構造を鋭く論じる対談引用。
2017-03-13
以下は前章で言及した「歴史通」最新号の伊藤貫氏と矢野義昭氏の対談特集からである。
伊藤
ドゴール大統領はこう述べていました。
「核の傘は実際には機能しない。フランスを守るために米ソが核戦争したら、ニューヨークやワシントンが核焼滅してしまう。そんな愚かなことを実行する米大統領はいない」
「アメリカは所詮、大衆民主主義の国だ。四年後の米大統領が誰になるのか、誰も知らないのだ。そんな不確定な国に、フランスの運命を預けるわけにはいかない」
日本には核を持たせない
伊藤
これは今でも同じです。
米政府が「核の傘が在るから、日本は大丈夫だ」と親切に言ってくださるのは、彼らが日本人から永遠に自主防衛能力を剥奪しておきたいからです。
米政府は、「独裁国家の中国や北朝鮮がどれ程多数の核を保有しても、民主主義国の日本には核を持たせない」と決めている。
素晴らしい「価値観外交」です(苦笑)。