東証大暴落の仮説補注――仕掛け人は誰か、国は市場を守るのか
ソフトバンクによる5,000億円規模の自社株買い発表と、暴力的と形容される東証大暴落。市場を長年ウォッチしてきた筆者は、円高・空売り・外資支配という構造から仮説の補注を迫られた。日本は市場を守る意思があるのか、仕掛け人の責任と情報開示の必要性を問う。
2016-02-17
私の友人の中に何人かの金融機関出身者がいる。
私が約10年前に、「文明のターンテーブル」を書くために欠けていた最後の部分とは、不動産、銀行と並ぶ三本柱である株式市場を知ることだと定め、数年間、市場をウォッチングし続けたことは既述のとおりである。
一昨日の日経新聞に掲載された、ソフトバンクによる5,000億円もの自社株買い実施の発表は、私が見続けてきた中でも最大級のものだった。
この記事を見た途端に、私は仮説の補注を迫られた。
そのことを冒頭の友人に話したのである。
ソフトバンクのオーナーである孫正義は、日本の失われた20年に完璧に反比例して、今や資産5,000億円を超える日本有数の大資産家である。
同時に、彼は中国のアリババなどの大株主でもあり、中国関連で巨額の利益を上げてきた。
だが、野望の塊のような人間である彼が米国で行ったスプリント買収は、市場では長く疑問視されている。
今回の東証の大暴落が、明らかに意図的なものであることは、すでに紹介したとおり、もはや動かしがたい事実である。
先日の産経新聞は、これを「暴力的な下落」と表現していたほどだ。
最も安全で、最も安定し、巨大な流動性を持つのが東証である。
だが東証は、中国のように国益を守る、国を守るという気概を全く持たない市場でもある。
外敵、それもよこしまな外敵から国を守るという、日本以外の国では当たり前の法案を、戦争法案反対などと最高学府の学者を先頭に叫ぶ国に、自国市場や企業、国民の大切な金を守る気概などあるはずがない。
そのことは、仕掛け人たちにはとうに見抜かれている。
さらに東証は、円高=株安という極めて単純な市場であり、外資が日々の売買高の70%を占めて支配している。
外資が元に対して売りを浴びせることは、中国では、したくてもできない。
だが東証で円高に持ち込むことは容易にできる。
なぜなら、日本は官民挙げて国益観念がほとんどない国だからだ。
好き放題できる。
同時に日経平均に猛烈な空売りが仕掛けられた。
莫大な金が日本から奪われた。
つまり仕掛け人たちは莫大な利益を得た。
その中に、ソフトバンク、すなわち孫正義がいた。
私はそう友人に、仮説の補注を加えたのである。
私の仮説が正しければ、昨日のストップ高程度では足りない。
東証を元に戻す責任が仕掛け人たちには当然あり、東証は誰が空売りを続けたのかを国民に明らかにする必要がある。
国すら守りたくないのなら、日本の市場を守る気はないと、日本国民と世界に向かって明言すべきである。
国を守るのか、守らないのか。
事はそれだけである。
この稿続く。