テレビと野党が共謀する「森友」報道という名の談合構造

2017年4月27日、青山繁晴参議院議員が月刊HANADAで明らかにした、日本の国会審議とテレビ報道が視聴率目的で結託し、森友問題のみを恣意的に演出していた実態を告発する論考。国際NGO「国境なき記者団」が見落とし続けている、日本における“過剰な報道の自由”と腐敗の構造を明らかにする。
2017-04-27
日本のメディアがどれほど好き放題に報道しているか、つまり、これ以上ない報道の自由を持って、悪辣と表現しても過言ではないほどに、恣意的な報道を繰り返しているかについて、青山繁晴参議院議員が昨日発売の月刊誌HANADAで明瞭に伝えている。
私は、この記事を、朝日新聞などを購読し、日本のテレビ局の報道を視聴していた私たち日本国民が、これまで絶対的に知る事がなかった事実として、日本国民に知らせる予定だったのだが、何よりも先ず、国際NGOの国境なき記者団の連中に知らせる。
「危機はいつも新しい仮面を付ける」と題した、3段組み10ページに渡る論文からである。
見出し以外の文中強調は私。
前文省略。
また日本国が茫然とこの眼前の危機を見るだけなのは、アメリカ離れを唱える自称リベラル派、すなわち敗戦後日本の多数派こそが、国民の生存をアメリカ任せにしているからである。
日本は何をやっているか。
このさなかに、日本の中枢では暗黒国会を続けている。
北朝鮮危機をめぐる緊急の安倍・トランプ電話会談のすこし前、三月下旬に参議院の分館二階で経済産業委員会が開かれた。
わたしはここに、有権者・国民の代理人として出席していたから、この様子を伝えよう。
テーマは「平成二十九年度予算の委嘱審査」、つまり約九十七兆五千億円に及ぶ一般会計予算案の中で経済産業分野の専門的な部分について、予算委が審議を経済委に委嘱、お願いして文字通り専門的な細部にわたる審議をするわけだ。
そして実際、最初に質問に立った与党議員は中小企業の経営について、国が資格を実質的に認定する「経営指導員」が実は、職業経験がゼロだったりする実態を追及した。
この地味な、しかし驚くべき実態を暴露している最中に、大きなテレビカメラに三脚を持った男と、音声を採る機材を持った男が委員会室に入ってきた。
傍聴人もほとんどいなかったが、その傍聴人がもしも健全な常識人であれば、「お、こんな地道にして深刻な問題をきちんとテレビニュースで取り上げるのか」と思うだろう。
しかし、このご大層なテレビクルーは与党席には全くカメラを向けず、野党席の民進党議員と答弁者席の世耕弘成経産大臣にしきりにカメラを向け、それでいて決してカメラを回さない、つまり撮影はしない。
この時点で元記者のわたしには、もう分かる。
「あーあ、何だこれは」という気持ちが湧き上がる。
与党議員の質問が終わり、民進党議員が質問に立ち、そして案の定、こう切り出した。
「質問通告をしていないんですが、森友問題について国民のご関心が強いのでお聞きします。大臣、感想は?」
カメラはいきなり回り出す。
答弁に立った世耕大臣は「私はこの問題に全く関与していません」と答えたうえで「国民の関心が強いといっても、それは籠池さんの発言も含めて単なる言いっ放しや噂にすぎない話があるからではありませんか。私も海外出張先でいきなり閣僚Sは(森友学園から)カネを受け取っていたという根も葉もない噂について突然(日本からの)テレビカメラを向けられて聞かれたりしました」と答弁した。

民進党議員は「では本題の自動車の税について……」と質問を変え、その瞬間、テレビクルーの男たちはさっさと委員会室から出て行った。
何でもない光景のようでいて、深刻な、そして腐った癒着をまざまざと物語る場面だ。
この審議のあと、わたしは民進党保守系の知友に聞いてみた。
「ああいう質問をしろと、党が指令を出しているのでしょう?」
「……うん、実質的に出しています」
経産大臣が森友問題に関わっているという証拠もなにもなく、ただ聞けといわれるから聞く。
そして、この議員は結局、本来の専門分野の質問をする時間が足りなくなって、ご本人も一つ質問ができませんでした、と残念そうに質問を終えられました。
「なんで党の命令をこんな形で聞かねばならないのですか」
「うーん、聞かなきゃいけないよね」
「共産党なら分かる。しかし民進党もそうですか」
「まあ、視聴率が取れるから。テレビと持ちつ持たれつでやれるからね、森友の件は」

読者もお分かりだろう。
まず民進党からテレビ局に「全部の委員会で森友を聞かせるよ」と伝え、あるいはテレビ局からの問い合わせに対してこのように答え、質問予定時間まで全て教える。
テレビ局はその委員会の国民生活に関わる重要な、専門的議論などには全く無関心で、その指定された時間だけ、委員会室に出向いて、民進党議員と大臣の森友に関する部分だけを撮影する。
そしてテレビニュースで「各委員会で一斉に森友を追及」「政府側は苦しい答弁続く」などとやるわけだ。
こんな談合を国民、視聴者が望んでいるか。
わたしは「日本国民を馬鹿にするな」と叫びたくなる。

*私は国際NGOの国境なき記者団の連中に対してもっと大きな怒りを表明しているのである。*

予算委員会で共産党や社民党らが「教育勅語を評価するのは許せない」と閣僚の思想・信条を、追及というより取り締まるかのように怒鳴り続けるという真昼の暗黒も恐ろしい。
しかしこうした目立たない暗黒もまた、日本の国会の、国民が知らない深き闇である。
この稿続く。

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