小泉氏はドイツで何を見たのか――再生可能エネルギー幻想の現実

朝日新聞とWiLLの発行部数格差が示す日本の情報環境の歪みを指摘しつつ、奈良林直氏の論考を通じて、小泉純一郎元総理の再生可能エネルギー論の空虚さを検証する。ドイツの実データは、再エネ推進が電気代高騰とCO₂増加、生活弱者への負担をもたらした現実を示している。

2016-03-16
問題は、例えば朝日新聞は今でも600万部ほどの販売部数がある。
一方、WiLLは11万部(2011年時点)の発行部数しかないと言うところに在るのである。
事実に基づかない、或は事実を隠蔽して、自分たちの歪んだ思想を実現しようとするメディアと、これを操縦し、自分は大儲けしながら、日本が世界に誇る大企業群の力を落とし、競争相手の国の企業に塩を送り続けるだけではなく、日本の国力を落とし続ける企業家などに、メディアが迎合している態様が存在している事なのである。
以下は前章の続きである。
題字以外の文中強調は私。
「再生可能エネルギー貧乏」
《ピンチをチャンスに変える知恵と技術、不屈の精神が日本にはあるんだよ。今の原発の電力に頼った状態も三十年あれば自然エネルギーで十分まかなえるように変えられる》
なぜ《変えられる》と言い切れるのか。
その根拠となる具体的なデータの提示や説明はありません。
《自然エネルギーは安定しないとかウソ。私はドイツまで見に行った。どんどんいいの、出ていますよ》
具体的にどういいのか、どの発電所で何を見てきたのか、
そうしたことは一切言わない。
小泉さんの発言の特徴は、どれも表面的でワンフレーズが多く、中身は空っぽだということです。
東日本大震災以前、ドイツでは15基の原発が稼働しており、総発電量の25%の電力を供給していました。
震災以降は7基に減りましたが、稼働率99%で総発電量の15%の電力を供給しています。
ドイツでは原発が総発電量の25%を占めている時、原発の総設備容量の1.5倍の太陽光発電を新設しました。
結果、総発電量の5%にすぎないのです。
ところが、太陽光や風力などの自然エネルギーは変動が激しく、蓄電できないため、バックアップ電源を必要とします。
ドイツでは電力の半分近くが石炭火力となり、CO2の発生が深刻化しています。
再生可能エネルギーを進めれば進めるほどCO2が増えるというグリーンパラドックスが起きているのです。
ドイツの経験から明らかなことは、現段階では再生可能エネルギーを主軸に据えるには国民負担が大きすぎるという事実です。
小泉さんはドイツに行って一体、何を見てきたのでしょうか。
この稿続く。

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