世界はいま「中国共産党の嘘」に注目している— 言論虐殺と亡命者が語る現実 —
月刊HANADA5月号の対談特集で、遠藤誉と亡命漫画家・辣椒は、中国共産党による言論弾圧の実態を証言する。世界がいま「中国共産党の嘘」に強い関心を寄せる理由と、その背景にある恐怖と検閲の現実を明らかにする。
2017-05-07
以下は前章の続きである。
以下は月刊誌HANADA5月号に掲載されている、遠藤誉・東京福祉大学国際交流センター長と、辣椒・中国亡命漫画家による、3段組みで12ページに渡る対談特集記事からである。
世界に発信せよ!中国の嘘と言論虐殺。
習近平政権の真の敵。
遠藤。
辣椒さんは、亡命のために日本に来たというのではなく、最初は観光ビザで来日されたんですよね。
辣椒。
はい。日本にいる友人が私たち夫婦を日本に招待してくれたので、妻と観光ビザで2013年5月に来日して、3ヵ月いたら帰ろうと思っていたのです。
ところが帰国直前に、私が登録していたウェイボー(微博・中国版ツイッター)のIDとパスワード、ブログが一斉に削除され、ネット通販サイトのタオバオ(淘宝)のアカウントも全て削除されました。
さらに、中国共産党の機関紙「人民日報」のウェブサイト人民網に「強国論壇」という様々な人が意見を書き込む言論サイトがあるのですが、そこに「辣椒は親日だ、媚日だ、漢奸(売国奴)だ」「辣椒を法で裁くべきだ」などと書かれました。
それが天津日報の「天津網」や解放日報の「解放網」など10以上のウェブサイトに次々と転載されていき、「帰国したら必ず逮捕される」という状況になってしまったのです。
遠藤。
そのまま日本に留まるしかなくなったと。
辣椒。
夏服しか持ってきていなかったので、当初は非常に困りました。
ちなみに、ウェイボーのアカウントは何度登録しても削除され、その数は200以上にのぼります。
遠藤。
私は普段、日本で発売している中国関連の書籍はほとんど買わないのですが、辣椒さんの『マンガで読む 嘘つき中国共産党』はすぐに買いました。
辣椒さんがネットで書かれているコラムをときどき読むことがあり中国に対する正確な分析に感心していましたし、風刺漫画にも興味を持っていましたので。
本に「習近平政権の真の敵は中国人民である」とあるのを見て、「やっぱり辣椒さんは中国の本質をよくわかってらっしゃる」と感銘を受けました。
辣椒。
遠藤先生のような方にそうおっしゃっていただけて、感激です。
遠藤。
辣椒さんに是非ともお会いしたいと思っていたところ、アメリカ政府のメディアVOA(Voice of America)から「辣椒さんという漫画家がどうしても遠藤先生に会いたいと言っています」とのメールをもらい、これは運命的だと思って面会が実現したのです。
それが今年に入ってすぐのことでしたね。
辣椒。
はい。私も遠藤先生がお書きになった『毛沢東 日本軍と共謀した男』に関する中国語による多くの紹介をVOAのウェブサイトで知り、一日も早く先生にお会いしたいと思っていましたから嬉しかったです。
ちょうどVOAから取材を受けたあとで、担当者が遠藤先生にも取材をしていてすでに番組を三本も作ったと伺ったので、すぐに会いたいとお願いしたのです。
遠藤。
『嘘つき中国共産党』には、「中国の言論弾圧に抵抗しているからこそ、本を書いている」という、私との強烈な共通点がありました。
私はVOAやBBCなどから取材を受ける機会が多いのですが、それほど世界はいま、「中国共産党の嘘」というテーマに強い関心を持っています。
それは辣椒さんをはじめ、在外華人華僑の人たちも同じですね。
「もうこれ以上、中国共産党の統治には耐えられない」との思いから海外に出る中国の人たちは多く、皆さん共通の視点を持っています。
辣椒さんが中国共産党に疑問を抱いたきっかけ、あるいは「中国共産党の嘘」について関心を持ったきっかけは?
この稿続く。