再生可能エネルギーが生活弱者に強いる現実

ドイツの実例を通じ、再生可能エネルギー拡大が電気料金高騰を招き、最も大きな犠牲を生活弱者に強いている現実を検証する。エネルギー政策の主軸化が抱える経済的限界を明らかにする章。
2016-03-16
再生可能エネルギーは、生活弱者に最も犠牲を強いるものとされているのです。
以下は前章の続きである。
ドイツでは、安い国産の石炭を使う火力発電がありますが、日本はそうした国産の資源がありません。
太陽光と火力発電所の設備の二重投資でコストもかかるうえに、調整用の火力発電所の稼働率は下がるため、経済効率も非常に悪い。
先進国に先駆けて、1992年に再生可能エネルギーの買取制度、フィード・イン・タリフを導入したドイツは、20年以上にわたって再生可能エネルギーの普及促進を積極的に進めてきましたが、総発電量に占める割合は約20%にすぎません。
ドイツのFITの賦課金を見ると、2014年までに加速度的に増えていることがわかります。
ドイツの電気代は、再生可能エネルギーの買取制度の導入などにより、ここ10年で2倍に跳ね上がっているのです。
日本のメディアではほとんど報じられていませんが、2013年9月に行われたドイツ総選挙では、メルケル首相が「再生可能エネルギー貧乏」という言葉で、野党から強い非難を浴びました。
電気料金の値上げで誰が一番困るかといえば、生活弱者です。
現に、ドイツではそうした現象が起きている。
再生可能エネルギーは、生活弱者に最も犠牲を強いるものとされているのです。
ドイツの経験から明らかなことは、現段階では再生可能エネルギーをエネルギー政策の主軸に置くには、国民の経済負担が大きすぎるということです。
ドイツでは産業用の電気代は家庭用に比べて安く設定していますが、それでも他国と比べて高いため、国際競争力を維持しようと、電気代の安い隣国チェコとの国境沿いに工場を移転する企業も多い。
小泉さんはドイツに行って一体、何を見てきたのでしょうか。
この稿続く。

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