危機に便乗する電力改革 — FITと発送電分離が招く破綻 —
経産省改革派官僚は、脱原発の混乱に乗じて発送電分離を進めようとしている。
再生可能エネルギーは、菅直人が強行したFITによって拡大したが、電力供給の安定性とは無関係である。
危機を利用した改革は、電気料金高騰と供給不安をもたらし、国民に責任を押し付けたまま次の改革へと進む。
2016-03-24
以下は前章の続きである。
しかし、昨年12月7日に経済産業省の「電力システム改革専門委員会」が再開して、電力会社の分社化による発電と送電の分離を推進するとの方針が強く出るようになりました。
経産省「改革派」官僚は、脱原発の熱が冷めないうちに発送電分離をしてしまうつもりなのかもしれません。
まさにミルトン・フリードマンの言う「危機のみが真の変化をもたらす」そのままです。
何度もいわねばなりませんが、脱原発と再生可能エネルギー拡大とは無関係です。
単なるイメージで結合しているだけです。
ましてや、発送電分離などをやったら再生可能エネルギーにとって打撃ですらあります。
再生可能エネルギーを菅直人氏が強引にやったFIT(全量固定価格買い取り制度)で拡大したり、発送電分離などをすれば、必ず電気料金は上がり続け、財政負担が増え、電力供給は不安定の一途を辿るでしょう。
この時、多くの国民はドイツ人のように、「再生可能エネルギーの拡大のために電気料金が上がって迷惑なことだ。だから初めから脱原発は無理だったんだ」などと考えるようになると思います。
そして経産省改革派官僚どもは、この「社会実験」に失敗のスタンプを押して、誰に責任をとることもなく次の「構造改革」に取りかかるのでしょう。
私たち日本人は「改革」に何度ダマされたら懲りるのでしょうか。
社会は「改革」されるごとに悪くなっているというのに。