構造改革特区で「対応不可」だったものが、「実施に向けて検討」へ変わった瞬間

獣医学部新設をめぐる構造改革特区申請は、日本獣医師会と政治の癒着によって長年阻まれてきた。民主党政権下、鳩山由紀夫政権末期に至ってようやく「実施に向けて検討」へと転じた経緯を、当事者の証言から明らかにする。

2017-06-16
以下は前章の続きである。

特区申請はねられた

すると“壁”にぶちあたった。
今度は獣医学部の定員を増やせないという。
僕らは怒って「もし、薬剤師や医師や看護師は8割を東京で養成して、関西で2割しか入学定員がなかったら、暴動が起きるよ」と言ったら、ケンカが始まっちゃった。
ところが、構造改革特区で申請してもはねられ、文部科学省に行っても「農林水産省がうんといわない」、農水省に行くと「いや、獣医師会が反対で」と言う。
これまた、なぜなのか調べてみると何てことはなかった。
日本獣医師会の政治団体「日本獣医師連盟」が自民党の獣医師問題議員連盟に政治献金し、パーティー券を賈っていたんだ。
日本獣医師会の顧問の北村直人元衆院議員は、国会議員に根回しするわ、愛媛に乗り込んできて獣医師を増やしたらいけないと言うわ。
「東京で立派に育てて返すから、奨学金つけて送ってくれれば送り返してあげますよ」なんて言ったこともあってね。
大げんかしましたよ。
結局、自民党の獣医師問題議連に乗り込んでいった。
時期は曖昧だが当時、議連の名簿を見たら、最高顧問が党の実力者というから、やれうれしやと実力者のところに飛び込んだ。
すると、(実力者は)当時の獣医師会の山根義久会長に話してくれて、「加戸ちゃんうまくいったよ。山根会長が了解してくれたからな。これで進められるよ」という話だった。
「救いの神です」とお礼を言ったが、山根会長が獣医師会で愛媛の獣医学部を認めてやれと言ったら、他の役員に袋だたきにあってしまったそうだ。

民主議員と文科省へ

21年に民主党政権になって、愛媛で白石洋一氏が民主党から衆院議員に当選した。
彼に「自民党ができなかったことをやれば民主党の点数が上がるぞ」つて言って、一緒に文科省に陳情に行った。
彼が四国の議員らに声をかけてくれて、獣医学部を作るべきだと国会質問もやってくれた。
そしたら、今までは構造改革特区で「対応不可」だったのが、鳩山由紀夫政権の終わりの頃には「実施に向けて検討」となった。
前に進んだよ、さすが民主党、と思っていたら、今度は民主党が民主党獣医師議連を作ってしまった。
日本獣医師連盟は玉木雄一郎衆院議員に100万円の献金したとか…。
お笑いだけど、民主党政権がひっくり返って、今度は自民党政権に戻ったら進まない。
こんちくしょう、と思ったよ。
安倍晋三首相と加計学園の、理事長が友達だと知ってたら、直訴してでも10年前に獣医学部を作ってますよ。
安倍首相に「あんた、加計学園の友達でしょ。やってくださいよ」つて。
50年も東京の私学を守るために、獣医学部を地方に作らせないなんてふざけた話があるのかって直談判してましたね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください