政治運動化したメディア――加戸前知事の発言を黙殺した新聞とワイドショー
加計学園問題の閉会中審査において、核心を突く加戸守行前愛媛県知事と原英史氏の証言は、新聞とワイドショーによって意図的に黙殺された。本稿は、報道が事実検証を放棄し、政治運動へと変質した日本メディアの実態を内部証言から描き出す。
2017-08-01
以下は前章の続きである。
政治運動化したメディア
末延
僕の言い方で言うと、こうなります。
政治はメディア対策をし過ぎて、自らメディア化してしまった。
一方、メディアは「意見ファースト」で政治権力化してしまったのです。
本来、政治は政策を訴えるべきだし、メディアはそれに対して公正・公平に俯瞰して報じなければならないのに、政治運動になってしまっている。
特に視聴率重視のワイドショーは、ただただ瞬間的な世論の空気を読んで視聴率を取れる番組を作ろうとします。
「総理はお友達ばかりを優遇して、何かズルいことをしているんじゃないか。」と世間が感じるようなネタに飛びついて騒ぐだけで、「実際のところどうだったのか」は取材もしないし、報じもしません。
加藤
七月十日に閉会中審査が行われ、前川喜平前文科次官が参考人として呼ばれました。
他に、原英史国家戦略特区諮問会議ワーキンググループ委員、加戸守行前愛媛県知事が出席しましたが、原さんと加戸前知事の発言を聞いたら、「なんだそうだったのか」と腑に落ちましたよ。
つまり、特区の話が持ち上がるはるか以前の十五年も前から、「獣医学部を新設したい」と言ってきたのが加計学園だった。
戦略特区の委員も、総理と加計学園の理事長との関係なんて全く知らなかった、と。
末延
ところが、朝日新聞、毎日新聞は、加戸前知事の発言をほとんど書かなかったでしょう。
ワイドショーも加戸さんや原さんの発言を全く使わず、前川発言ばかり使っている。
「前川は、読売と結託した政治の力でプライベートまで暴露された可哀そうな人。それでも負けない正義のヒーロー」であるかのように編集され、視聴者に印象づけられています。
加藤
私学に補助金を認めて、自分たちが退職したらそこへ天下る。これって汚職ですよ。
文科省はもともと三流官庁なのに、教育行政で絶大な権力を持っている。
「三流官庁」なんてテレビで言うと、すぐ「ピー」音が入って消されちゃうんだけれど。
末延
相変わらず舌鋒鋭いね(笑)。
僕はテレビ朝日の「ワイド!スクランブル」という番組に木曜日と金曜日に出演しているんだけれど、この番組でも司会者が、文科省OBに対する僕とゲストの質問を遮ったから、抗議の意味を込めて一時番組を休んだんです。
加藤
文科省OBつて、「ゆとり教育」の寺脇研でしょう。
どうして彼が前川擁護で登場するのかわからない。
彼こそ、日本の教育を破壊したのに。
末延
テレビ映えがよくてコメントがうまく、お茶の間向きなんです。
しかし、この加計学園問題で、加戸前知事と原さんのコメントを全く報じなかったことは決定打でした。
彼らが話した経緯をきちんと報じていれば、世の中の人も納得したはずなんです。
加藤
ためにする報道姿勢なのは明らかです。
末延
翌日、新聞を見てびっくりしましたよ。
もちろん、テレビに関しても同様です。
全く報じられていない。
僕も再取材したり、関係者に確認したうえで確信を持つたから、番組関係者に「どうしてやらないの」と訊いたんだけど、黙っている。
この稿続く。