それこそリベラルなら、人権問題に向き合わねばならない――劉暁波事件が突きつけた国際社会の冷酷さ

劉暁波氏の死をめぐる中国の人権侵害と、それに沈黙する国際社会の現実を、福島香織氏と矢板明夫氏の対談を通して検証する。米国の後退、日本の消極姿勢、そして「リベラル」を名乗りながら人権問題に触れない野党の欺瞞を鋭く批判し、日本が果たすべき役割を問う。


それこそリベラルなんだから、なおさら人権問題にとりかからなければウソでしょう。
2017-08-04
以下は前章の続きである。
冷徹な国際社会
福島
「7・09」事件でも、どのような拷問が行われているか少しずつ証言が出てきていますが、これをちゃんと調査しなければならないと、2017年3月、世界11ヶ国の大使が連名で中国政府に要求しました。
その中で特徴的だったのが、その連名にアメリカが入らなかったことです。
要するにアメリカは中国の人権問題にそれほど関心がないということを図らずも表明したことになります。
今まで中国の人権にモノ申す最大のパワー国家がアメリカでしたが、トランプ政権は人権に興味がない。
娘のイヴァンカが中国で大儲けしているという話もありますしね。
矢板
中国人が面白いことを言っています。
子供の時に、中国が強くなれば国際社会でいじめる人がいなくなると思っていた。
そして空母ができ、軍も強くなった。
すると今度は、国際社会で自分たちを助けてくれる人がいなくなった。
中国が強くなりすぎてしまったから(笑)。
福島
中国では拷問など、もともと昔からやっている伝統の一種だと開き直る中国人もいる。
いまは体裁も繕わなくなった。
胡錦濤政権の時は多少なりともかっこうをつけていましたよね。
自分たちは先進的な大国になっていくと。
かつて劉暁波は拷問を受けないと思われていました。
ノーベル平和賞受賞者を拷問したことがばれれば、国際社会も黙っていないでしょう。
さすがにそんな真似はできまい、と思われていた。
ところが国際社会におけるアメリカのパワーダウンや、中国の経済的影響力の増大に伴って人権問題に物言う国が減ってきたため、劉暁波さんの身が安全ではなくなったのかもしれない。
もし、病状の急激な悪化が、獄中での虐待、拷問と関連があったとしたら、これは国際社会の中国の人権問題への関心の薄さにも大きな責任がある。
矢板
例えば今回のドイツで行われたG20。
習近平も行きましたが、公式の場では劉暁波の話は出なかった。
共同通信電によると、個人的にメルケル首相は何度も釈放を求めたそうだけれど、習近平は絶対に国外に出さないですよね。
日本に関しては、安倍政権はよくがんばっていると思いますが。
福島
まず、自国民を救えという声もありますが(笑)。
矢板
劉氏は亡くなる前に海外での治療を希望していた。
アメリカ、ドイツ等、色々な国も劉暁波を「受け入れる」と表明しました。
中国が移送を拒んでいる理由の一つに長距離のフライトのストレスをあげていましたね。
でも、彼は瀋陽の病院にいた。
日本まで飛行機で三時間かからない。
福島
劉霞さんも、日本に肝臓ガンの名医がいると聞いて、日本で治療を受けさせたいと言っていた。
矢板
ところが、日本自身が受け入れの声をあげていない。
「日本政府が助ける。だから来て下さい」と。
福島
日本が受け入れを表明しなかったのは問題です。
矢板
日本が声をあげれば、中国は長距離移動は危険だということを言えなくなった。
劉暁波が亡くなったあと、欧米などの反応と比べて、日本政府の反応は非常に少なかった。
福島
世界から、日本に対する人権問題のリーダーシップをとることへの期待というのは、アメリカにトランプ政権が出来て以降、特に強くなっています。
日本がアジアの盟主であって欲しいということは、中国の脅威を感じている香港や台湾の若者たちや在外華人民主活動家たちが、二言目には言いますね。
中国国内にいる中国人でさえ。
矢板
そうなんです。
与党は中国とのかけひきや経済的な付き合いがあるから難しいにしても、こういう時は野党こそ言わなければいけないと思うんです。
野党はある面無責任なことを言えるわけですから。
ところが全く発言しませんね。
ずっと「前川」「籠池」問題ばかり追っている。
情けないですね。
それこそリベラルなんだから、なおさら人権問題にとりかからなければウソでしょう。
この稿続く。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


上の計算式の答えを入力してください