今の香港の若者は、なぜ中国を拒絶するのか— 青年アイデンティティ調査が示す現実 —
香港返還後に行われてきた「青年アイデンティティ調査」が示すのは、中国への帰属意識が急速に消滅した現実である。
二十代以下で中国を好む者はほぼ存在せず、日本や台湾、さらには中国国内においても「中国人と呼ばれること」への拒否が広がっている。その構造的理由を対談形式で明らかにする。
2017-08-05
以下は前章の続きである。
中国人と思われたくない。
矢板。
最近中国国内で議論されている法律の一つに、インターネット管理の問題があります。
重大な事件が発生した場合は、当局の判断でインターネットを使用停止にできる。
うわさや嘘を止めるためという理屈で。
そういう国はだいたい長く続かないですね。
2007年に北京へ、2008年から3年間、香港へ行きましたが、その頃は中国の影響力の急速な拡大を感じました。
香港が香港でなくなりつつある、中国が大きな磁石になってどんどん吸いこんでいくような感じ。
ところが習近平政権になったとたん、磁石の両極が反転したように、今度はどんどん香港が離れていき、台湾も離れていく。
今の香港の二十代以下の人で中国を好きな人は誰もいないでしょう。
福島。
香港大学が返還後毎年、「青年アイデンティティ調査」というものを行っています。
18歳から29歳を対象にした調査ですが、返還の時は31%くらいが自分は広義の意味で中国人だと言っていました。
ルーツは中国にあるから、自分は中国人だという人が3割いたんですね。
2008年の北京五輪直前の調査では、43%が自分は中国人だと言っていた。
そのころは、五輪を行う中国を誇らしいと思っていたのかもしれません。
ところが今同じ調査をしたら自分を中国人という人は3.1%です。
つまり、中国人ではないという人が9割以上です。
矢板。
同じ現象が日本でも起きています。
今まで、在日の台湾人には、中華民国系と中華人民共和国系の台湾人組織がありました。
ほかに華僑組織もたくさんあって、かけもちする人が多かった。
その方がなにかと便利でしたから。
ところが最近は「中国人と言われるのは嫌だ」という声が少なくない。
台湾人だけの組織ができていて、私たちは中国人ではないという動きが出てきた。
その中で、実は台湾にルーツを持つ日本人もいれば、ずっと台湾人のままの意識の人もいます。
中国も、いわゆる台湾の外省人、すなわち中国にルーツを持つ人が、なぜか台湾人の組織に入っていて、中国は嫌だという人がずいぶんいますね。
中国がいかに国際社会で嫌われているかということがよくわかります。
中国国内においても、共産党政権から、もちろん今恐怖政治をしているのでみんな黙っていますが、どんどん離れていっています。