「性奴隷」定着の危険性はらむ
産経新聞2面掲載の高橋史朗氏論考を基に、慰安婦関連資料の「記憶遺産」申請が孕む危険性を検証する。強制連行や性奴隷を裏付ける一次史料の欠如、真正性に乏しい証言や写真解釈の問題点を指摘し、「公娼制」を示す公文書までが「性奴隷」資料として定着する危険を警告する。
2017-08-08。
以下は8月6日、産経新聞の2ページからである。
「性奴隷」定着の危険性はらむ。
高橋史朗。
明星大学特別教授。
英帝国戦争博物館が申請した30点の資料には、慰安婦の強制連行や性奴隷であったことを示す内容はない。
強制性を示唆する2件の証言は、「記憶遺産」の一般指針にある「資料の真正性」の観点から、証言が真実で正しいとする根拠が明確でない。
目撃した具体的日時、場所、人を示すべき、オリジナルな第一次史料が不明であるが故に、信憑性が薄い。
また写真説明についても、客観性を欠いた誤解や曲解があるとみられる。
むしろ申請資料は、日本軍の公文書などにより、慰安婦は日本軍が管理した「公娼」であったことを示唆している。
韓国に事務局を置く「国際連帯委員会」が、「日本軍が女性や少女を性奴隷に強要し、性奴隷制度を設立、運営した」として登録申請していることから、10月に開催予定のユネスコ国際諮問委員会で、慰安婦を性奴隷とする記憶遺産登録が決まれば、「公娼制」を示す資料までが「性奴隷」資料として世界で定着してしまう危険性をはらんでいる。
慰安所利用時間など明示。
成人女性の写真を「少女」。
信憑性欠ける証言や記録。
英博物館の慰安婦資料。
ユネスコの「世界の記憶」登録に共同申請している英帝国戦争博物館の慰安婦関連資料のうち、①の公文書は、1943年5月26日にマンダレー駐屯地司令部が定めた「慰安所規定」など4点である。
兵士から将校までの利用時間と遊興費を明示しているほか、「慰安所は日本軍人軍属において使用するを本則」とし、慰安婦が戦地における「公娼」の役割を果たしていたことを示している。
また、「いかなる場合といえども殴打暴行など所為あるべからず」とし、慰安婦を含む従業員に対する粗暴な振る舞いなどの暴力行為を禁じている。
さらに、慰安婦の健康管理のための身体検査などを定めた条項があるほか、「慰安婦の外出に際しては経営者の証印ある出証を携行すること」とし、経営者の許可があれば外出の自由があったことをうかがわせる。
②と③の写真と動画は、1945年に英軍兵士によって撮影された。
アンダマン・ニコバル諸島で撮影された写真には、「日本によって軍のための『慰安少女』としてペナン島から強制的に連行された中国人とマレー人の少女」との説明が付されているが、幼児と触れ合う明らかに成人とみられる女性が写っており、少女とするには無理がある。
④の英軍兵士らの音声インタビューには、戦後、占領下の日本で連合軍向けにオーストラリア軍が運営した慰安所「ゲイシャハウス」を証言する内容も含まれていた。
また、慰安所から抜け出した20代ほどの日本人女性が村から日本軍に連行され、看護師、料理人、慰安婦として働かされていたとする証言もあった。
⑤の資料には、ミャンマーで誘拐され強制的に日本軍兵士の性奴隷にされたとする韓国人慰安婦を目撃したという、インド系英軍兵士の回顧録の抜粋も含まれていた。
しかし、原本は同博物館で所蔵されておらず、目撃日時、場所、人物も不明で、信憑性に欠ける。
日本人女性の証言も伝聞情報であり、真正とする根拠が明確でない。
こうした真正性に欠ける資料が申請された背景には、日本政府が反論してこなかったため、欧米で慰安婦を性奴隷と誤解する認識が広がったことがある。
【ロンドン=岡部伸】。