ファシズムと違い、共産主義がきっちりと非難されたことはなかったのであり、重大な問題であろう。

ブルガリア国内で起きたボコバ擁護をめぐる論争を通じ、共産主義がファシズムと異なり明確に断罪されてこなかった構造的問題が浮き彫りになる。国連・ユネスコ人事を巡る密室性と知識人層の倫理崩壊を告発する論考である。

ファシズムと違い、共産主義がきっちりと非難されたことはなかったのであり、重大な問題であろう。
2016-11-06
以下は前章の続きである。
密室審議の根源
ブルガリアの映画監督のエフゲニー・ミハイロフは、ボコバの不誠実さ、共産党員としての過去、ユネスコでの疑わしい運営、そしてボコバが国連事務総長に立候補したことにブルガリア国民は愕然として、国を二分する大きな論争なったこと、ボコバに対する国民からの幅広い支持はブルガリアには存在しないことを伝える手紙を国連加盟各国に送った。
この手紙にブルガリアのエリート政治家はすぐに反応した。
ミハイロフは国賊と罵られ、ブルガリア人の誇りとなるであろうボコバが国際的な地位を得るチャンスを台無しにしたと非難された。
ボリソフ首相は、安倍首相を含む数力国の首脳に手紙を送り、ブルガリア政府は引き続きボコバを支持することを表明した(しかし、のちにブルガリア政府はなぜかボコバヘの支持を取り下げている)。
そして、ミハイロフを積極的に攻撃したのがブルガリアの社会学者であるアンドレイ・ライチェフだ。
共産主義のブルガリアで筆者はライチェフと同じアカデミーで働いていたので、今でも覚えている。
彼は進歩的なインテリとして振るまっていたが、実際はジフコフ政権に近い人物だった。
ライフェフはブルガリア軍の高官の娘と結婚したので、共産主義体制が崩壊し「新しい」ブルガリアになっても特権階級を謳歌していた。
ブルガリアの60名の知識人がミハイロフの反ボコバの行動を非難する公開書簡をメディアや国際機関などに送ったが、ライチェフもそこに名前を連ねていた。
これらの知識人は、ボコバはバルカン半島の複雑な関係だけでなく、世界の外交や国際関係、宗教紛争を最も良く理解しており、国連をリードするにふさわしい人物である…とあきれた持論を展開した。
インターネットで公開されているブルガリアテレビの討論会にも筆者のソフィア大学時代のクラスメートが出演していた。
カリンーヤナキェフといい、現在大学で神学を教えている。
彼もミハイロフと同様、ボコバのこれまでの出世は共産党幹部だった父親の七光りであり、彼女を支持することは倫理に反する、とボコバの立候補を批判した。
例えば、ナチス・ドイツの高官だったヘルマン・ゲーリングの娘が立候補することは、国際的に認められることだろうか。
ファシズムと違い、共産主義がきっちりと非難されたことはなかったのであり、重大な問題であろう。
この稿続く。

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