単なる情報スパイではなかった — 共産主義工作が日本国策を歪めた決定的証拠
本稿は、月刊誌『正論』に掲載された中西輝政による論文の続編である。
ソ連スパイ・尾崎秀実の活動を、単なる機密漏洩に矮小化せず、世論操作と政策誘導を通じて日中戦争・日米戦争を泥沼化させ、日本と中国の赤化を狙った国家転覆工作として描き出す。
21世紀を生きる日本人、そして世界の読者にとって必読の歴史的分析である。
本当の本物の論文であり、21世紀を生きる日本国民と世界中の人たちにとって必読の書からの続きである.
2016-11-09.
以下は月刊誌正論12月号に掲載された京大名誉教授中西輝政氏の本当の本物の論文であり、21世紀を生きる日本国民と世界中の人たちにとって必読の書からの続きである.
見出し以外の文中強調は私.
単なる情報スパイではなかった.
イデオロギーとしての共産主義は、もちろん日本の国内にも、中国より早い時期から浸透していた.
前出の李大釧は一九一三~二(年にわたって日本の早稲田大学に留学し、この間に社会主義思想を学んでいる.
この当時、中国の知識人たちが読んだ社会主義・共産主義理論の文献は、ほとんどがヨーロッパから日本に輸入され、そこで邦訳されたものをさらに中国語に訳したものであった.
日本国内に浸透した共産主義の脅威といえば、その極めつけはなんといってもソ連スパイ・ゾルゲ諜報団の中心メンバーで、同時に近衛内閣のブレーンだった尾崎秀実である.
尾崎は、ソ連(赤軍の諜報部門である参謀本部第四局)のスパイ、リヒャルト・ゾルゲとそのグループを通じて日本の軍事・外交の機密情報をソ連に流したとして昭和十六年十月に逮捕され、十九年にゾルゲとともに死刑に処されている.
ところで、尾崎らがソルゲを通じてソ連に通報した日本の機密の中でも最も重要だったのは、昭和十六年夏に日本軍が北進ではなく、英米蘭との衝突も覚悟した南進を選択したという情報だとされてきた.
近年ではスターリンは他からもこの情報を得ていてソルゲの情報は重視しなかったという説もあるが、いずれにせよソ連が極東方面に配置していた軍を対独戦に回すことができたのは事実であり、戦局に大きな影響を与えた.
しかし、尾崎が共産主義者として行った日本に対する国家反逆行為は、単なる機密漏洩だけではなかった.
むしろそれは、尾崎の歴史的役割としては副次的なものに過ぎなかった.
元朝日新聞記者で中国通としての立場を利用した世論操作のための言論活動や、近衛内閣中枢における政策決定過程への秘密の働きかけによって、日中戦争の拡大と泥沼化、ひいては日米戦争と敗戦による日本の共産主義革命に向けて、意図的に国策を誘導する工作にも手を染めていたのである.
昭和十二~十三年の日中戦争の重大局面において、尾崎が意図的に進めた戦争の拡大と泥沼化は、近年ようやく数々の証拠から明らかになりつつある.
日本と中国を疲弊させ、特に剿共に転じた国民党によって壊滅寸前だった中国共産党を救い、日中両国を赤化することも目的だった.
さらに軍事戦略的にも、日本軍を中国に釘付けにすることでソ連を防衛するという使命を担っていた.
この稿続く.