慰安婦問題の煽動者たち

文在寅政権下で進行する慰安婦問題の固定化・合法化・国際化。その背後にある政治・官僚・市民団体の分業構造と、日本への法的・外交的圧力の実態を明らかにする論考。
慰安婦問題の煽動者たち。
2017-08-10
以下は先日発売された月刊誌正論の巻頭に続く論文集からである。
産経新聞編集委員 久保田るり子こ。
慰安婦問題の煽動者たち。
文在寅韓国大統領は最近、よく笑顔をふりまく。
先月のG20では安倍晋三首相ともトランプ大統領とも笑顔を交わした。
片や北朝鮮外交では「国際社会の合意を得るのは容易ではない」と謙虚にも語っていた。
しかし文氏は文氏である。
そう簡単に思想信条が変わる人物ではない。
日韓首脳会談で文氏は慰安婦問題について「この問題が障害物になってはならない」と述べたものだが、この外交辞令を鵜呑みにすべきではない。
なぜなら、いま文政権で日韓合意は無視され、韓国内における慰安婦問題は固定化、合法化、肥大化の一途だからだ。
このままでは韓国全土に「少女像」が増殖し、ソウルに慰安婦博物館が建ち、ユネスコの「記憶遺産」に登録され、韓国発の反日慰安婦問題は発信され続ける。
日韓合意は「不可逆的な解決」どころか、この問題に対する日本の努力は水の泡で踏みにじられる。
日本政府が「日米韓の枠組みに韓国を止めておくため慰安婦問題で衝突は避けたい」と考えているとしたら、トンでもないしっぺ返しに遭うだろう。
韓国の反日勢力はしたたかである。
政治と歴史問題の「ツートラック」などきれい事に過ぎない。
「慰安婦」は反日カードとして温存され、その既成事実化は政、官、民の分業で着々と進んでいるのだ。
ソウルの日本大使館前の慰安婦像、釜山の総領事館前の慰安婦像が6月末、たて続けに公共物に指定された。
ソウル市鍾路区の区議会と釜山市議会が像を「公共造形物」とする条例案を可決した。
釜山といえば文在寅氏の地元。
市議会に発議したのは文氏が率いた与党「共に民主党」市議だった。
民間が勝手に設置した像がいつの間にか釜山市の管理下に移った。
そもそも、昨年末、釜山にこの像が設置されたあと、文氏はいち早く訪れて、像にひざまずいた。
そして自らのフェイスブックに「釜山市民の少女像設置は真の独立宣言だ」と書いて日本の法的責任追及を主張していた。
またもや始まった「人道」の名の下での問題のすり替え。
いうまでもなく、像の設置は外国公館前の侮辱行為を禁じたウィーン条約違反だが、この条例発議は違法設置の「合法化」を狙ったもので、像設置直後から準備されてきた。
そして市議会での条例可決は、折しも米韓、日韓、日米韓首脳会談などの文在寅外交が始動する直前というタイミング。
これを既成事実化と言わずに何というのか。
いまや区や市の管理下にある慰安婦像たち。
「これで保護の根拠が出来た」と市民団体は喜んでいるのだ。
一方、韓国で慰安婦白書や慰安婦博物館建設、ユネスコの世界記憶遺産への登録に向けての政府支援の中心的人物となるのが文政権入りした鄭鉉栢・女性家族部長官だ。
鄭氏は成均館大学教授からの転身だが、運動家としても知られる。
韓国最有力の左翼系市民運動団体「参与連帯」の共同代表を務めてきた人物である。
参与連帯は韓国全土に支部、会員を持ち、選挙で不正な国会議員の落選運動をするなど政治活動でも有名だ。
慰安婦関連では慰安婦像建立を支援してきた。
6年前の日本大使館前では「世宗参与自治市民連帯」、昨年の釜山総領事館前は「釜山参与連帯」が韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)を助けて像建立を支援していた。
文在寅大統領はこういう団体代表を、慰安婦問題の管轄官庁である女性家族部長官に指名したのだから狙いは確信的である。
鄭氏は長官に就任するや慰安婦被害者の施設「ナヌムの家」を訪問。
慰安婦問題を最優先課題と述べ、「慰安婦博物館を作る」「慰安婦問題はもはや韓日問題ではなく国際的問題」と戦闘的だ。
康京和外相も「人権問題は被害者中心の解決が基本なのに、合意内容や経過はそれに忠実ではなかったという印象」などと異議を唱えている。
またもや始まった「人道」の名の下での問題のすり替え。
安倍首相の真摯な謝罪も反省の言葉も無視して、慰安婦問題を政治化し世論を煽ろうというのが文政権の正体なのだ。

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