「堅気」が支えてきた日本社会— 草の根保守という理念型 —
日本社会の安定を底支えしてきた「堅気」という庶民層の理念型を、産経新聞「正論」掲載の竹内洋論文から読み解く。勤勉・誠実・秩序を重んじる人々が、なぜ日本の信頼社会を形成してきたのかを描く。
日本の堅実な庶民層を理念型で描けば「堅気」である。堅気とは、日々の生業を真面目につとめ
2016-12-23
以下は12月23日、産経新聞の「Sound Argument」に掲載された竹内洋氏の論文からである。
日本の堅実な庶民層を理念型で描けば「堅気」である。
堅気とは、日々の生業を真面目につとめ「おてんとさまに恥じない」とか「まっとうな仕事をしている」ということを心の支えにしてきた草の根層だ。
整頓、清潔、正直を心の習慣とし、それを黙々と実践した人々である。
日本人の美徳といわれる「勤勉」や「真面目」「時間や約束を守る」「几帳面」などを支えてきた人々である。
堅気は、石と金でできた石部金吉のように融通がきかず、極端な堅物というわけではないが、調子のよい話や派手なパフォーマンスを疑わしく思う感受性を持っている。
彼ら、彼女らこそがバランス感覚をもった草の根保守を形成してきた。
もちろんこんな絵に描いたような堅気そのものは、今ではそんなにいないだろう。
しかし、こうした堅気人間の系譜をひく庶民が一定の厚みで存在する。
それは、職場や関連会社のあれこれの人々を具体的にふりかえってみればよい。
「職場の生き字引」とか「たたきあげ」といわれたかつての「堅気」に似た人々が結構いることがわかるだろう。
日本社会はなぜ安定したか。
私が知っている大学生でも、ボランティア活動に積極的に参加し、他者の気持ちをおもんぱかる、地味だがまじめな人柄の学生は少なくない。
彼らは昔の堅気人間のように寡黙というわけではなく、コミュニケーションカも高い。
その意味で「マイルド堅気」というものだが、心根において、律義で実直な人々である。
日本社会の秩序がそれなりに安定しており、他者への信頼感も他の社会から比べれば高いことも、そういう人々が社会を底支えしているからである。
1990年代生まれの、欲が少なく自足した「さとり世代」といわれる若者は、そんな「マイルド堅気」に近いところにいる。
後略。