冷戦の只中でドイツに渡った私が見てきた世界の激変— 高山正之という唯一無二の知性 —

1982年にドイツへ渡った川口マーン恵美が、冷戦構造から現在の世界的動乱までを振り返り、高山正之のコラム「変見自在」の知性と分析力に触れながら、現代世界の危機を描く。

私がドイツに渡ったのは1982年。
2016-12-29
以下は前章の続きである。
高山正之氏が週刊新潮で長年にわたって連載しておられる「変見自在」は、私の大好きなコラムだ。
取材力もさることながら、世界の色々な場所で、それも異なった時間軸の中で起こっている、一見何の関係もないように見える事象を組み合わせる手腕、そして、その共通点をあぶり出していく分析能力がすごい。
ふつうの人が知らない歴史もざくざく出てくる。
大国や大人をボロクソにこき下ろすが、どこかユーモアがあって後味が悪くない。
しかも、モラルを振り回すわけでもない。
このセンスは誰にも真似ができない。
だから、一時、氏がある雑誌で匿名コラムを書かれたときも、読んだらすぐに読者の脳裏に高山氏の顔が浮かび、結局、匿名にはならなかった。
その高山氏と、対談をさせていただくことになったのは、大変嬉しい。
私がドイツに渡ったのは1982年。
アメリカとソ連が対峙する冷戦構造の真っ只中で、日本は出すぎた「経済大国」としてバッシングされ、中国は単なるアジアの「貧民大国」だった。
この30数年で、それがなんと変わってしまったことだろう。
いま、世界は激動の時代を迎えている。
理想を掲げてつくったEUは分解しかけ、中東でも、あるいはEUの東壁あたりでも、いつ戦争が起こってもおかしくない。
その後ろでは、少々ガタが来ているとはいえ、アメリカとロシアがしっかり糸を引いている。
アジアももちろん不穏だ。
こんな「動乱」の中、日本人だけが呑気にオリンピックを見ている。
本書は、「日・米・独10年後に生き残っている国はどこだ」という壮大なテーマとなった。
当たるも八卦、当たらぬも八卦だが、高山氏の胸を借りて思う存分、想像力を働かせてみたい。
いずれにしても、すべてを疑ってかかるという私のいまの姿勢は、知らず知らずのうち、氏に影響された部分が少なくないのではないかと、私は密かに思っている。
平成28年9月。
秋晴れのシュトゥットガルトにて。
川口マーン恵美

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