沈黙は通用しない—国際社会で求められる日本の意思表示—
慰安婦像問題をめぐる国際政治の現実を通じ、日本の「黙して理解される」という常識が通用しない現状を指摘。
国益を守るためには、事実に基づく反論と明確な意思表示が不可欠であると論じる。
国際社会においては、黙っていてもわかってくれるという日本の常識は通用しません。
2018-01-19
以下は前章の続きである。
何もしないほうが相手の思う壺。
―日本国内の反応で気になるのが、「慰安婦の問題ぐらいで姉妹都市を解消するのはよくない」とか「国際社会にネガティブなイメージを与える」「大阪万博の誘致にマイナス」とか「過激な対応は反日を煽る団体の思う壺」という意見です。
国益を軽く見ているというか、高を括っているような気がするのですが。
吉村。
姉妹都市の解消が「反日を煽る団体の思う壺」というのはまったく逆の話で、むしろ「何もしないほうが相手の思う壺」でしょう。
事実に反する批判に対して何も行動を取らずに放置する、という姿勢ほど、反日活動を行なう人びとを利する行為はありません。
事実、長年にわたって日本政府が慰安婦問題をめぐる対日批判に反論を示さなかったからこそ、政治宣伝がいま世界中に広まっているわけです。
こうした流れに対して現在、日本の首相である安倍晋三氏は、サンフランシスコ市の慰安婦像受け入れは「わが国政府の立場と相容れずきわめて遺憾」(2017年11月21日、衆議院本会議)と国会で明言しています。
河野太郎外務大臣も同様です。
大阪市は突拍子もないことを主張しているのではなく、日本政府と同じ立場を示しているにすぎません。
そして、自治体である大阪市がどこの都市と姉妹都市を結び、解消するかは都市の判断であり、外交ではありません。
したがって、今回のことで大阪の国際的評価が下がるとは考えられない。
むしろ、主張すべきことは明確に主張するのが国際常識です。
国際社会においては、黙っていてもわかってくれるという日本の常識は通用しません。
そもそも「国際社会にネガティブなイメージを与える」という物言い自体が、対日批判の政治宣伝におもねる姿勢です。
慰安婦像設置を推進する勢力の発想が、そこに隠されているのではないでしょうか。
この稿続く。