人工知能が暴いた政党・大学・自然科学の政治偏向—共産党93%、民主党65%が示したもの
国会会議録の機械学習分析を起点に、政党ごとの集団思考、新聞社説の政治的傾向、難関大学の学問分野別バイアス、さらに自然科学分野に潜む政治性までを論じた一篇。
人工知能による客観分析が、学界とメディアと政治の歪みを浮かび上がらせる、極めて示唆的な論考である。
2019-04-13
自然エネルギーは環境に優しいと宣伝して研究予算を獲得する研究者も少なくないが、自然エネルギーはそのエネルギー密度の低さゆえ、主要電源にするには。
最も正解率が高いのは共産党(93%)、逆に最も正解率が低いのは民主党(65%)であった。
と題して2018-05-05に発信した章である。
以下は前章の続きである。
1999年から2008年までの国会会議録を機械学習して得られた判定システムに、各議員がどの政党に所属するか、自民党、公明党、民主党(当時)、社民党、共産党の5択で判定させたところ、最も正解率が高いのは共産党(93%)、逆に最も正解率が低いのは民主党(65%)であった。
つまり、共産党は議員の意見が最も画一的なので、人工知能も「共産党」と判別し易かったのに対し、民主党は議員の意見が最も多様で共通点が見出しにくいため、正答率も下がったと解釈できる。
共産党に所属する議員の意見が画一的であるということは、同党が最も集団思考の傾向が強いとも言える。
逆に民主党の所属議員の意見が多様ということは、分裂しやすい党であるとも言えるが、その予測は民進党分裂で見事的中した。
自民党は民主党の次に低い正解率7割であった。
この客観的データに基づけば、自民党が集団思考であるという批判は正しくない。
この研究結果をベースとして、同システムによって、世の中の言説の政治的バイアスを測定できるのではないかと考えた。
各種言説がどの政党の議員の発言と類似度が高いかを数値的に出せるからである。
最初に行ったのが新聞の社説への応用である。
朝日新聞、毎日新聞、日本経済新聞、読売新聞、産経新聞の5社を対象にしたところ、朝日新聞が当時の野党三党(民主党、社民党、共産党)と最も類似度が高く、逆に産経新聞が最も低いという、一般的な認識に沿った順当な結果が出たものの、いずれの5紙も野党との類似度が与党のそれを上回った。
新聞社説は基本的には何かに批判的なスタンスで書かれることが多いため、こうした結果が得られたと考えられる。
難関大学の偏りを比較。
次に試みたのは、大学のホームページに掲載されている文章の分析である[3]。
ホームページに掲載されている大学教員のメッセージや研究科・専攻の教育理念などの文章を学問分野別に収集して分析対象とした。
収集・分析の対象とした大学と文章は、東京大学(人文社会科学44、理工学51、生命科学38)、京都大学(同72、37、40)、筑波大学(同51、32、32)、早稲田大学(人文社会科学55、理工学29)、慶応大学(同47、32)である。
早大と慶大の生命科学については該当する組織が少なく十分な数の文章が集まらないため、対象から外している。
収集した文章について、人文社会科学、理工学、生命科学の3分野に分けて、それぞれ各大学の文章がどの政党の発言と類似度が高いかを判定した結果を左の図1から図3に示す。
全て与党寄りに判定されているのは、大学をアピールする文章を収集しているため、批判的・ネガティブな表現よりポジティブな表現が多いことによる。
その中でも、京都大学の全ての学問分野と慶応大学の文系が野党との類似度が高いこと、学問分野別では理工系が最も与党寄りで、生命科学が最も野党寄りであることが分かった。
ただ、文章が与党の発言に類似するか、野党の発言に類似するかは、ポジティブ表現、ネガティブ表現の偏りにも影響されるため、考え方が保守的か革新的かの判断材料とするには不十分な点も多い。
そのため、大学のイデオロギー・バイアスを調査する研究は一旦頓挫していたが、前出の「安全保障関連法に反対する学者の会」がそれを乗り越える格好の材料を提供してくれた。
自然科学の政治偏向。
既に述べた通り、人文科学、社会科学、自然科学など、科学と名の付く全ての学問は、予測力を持つ体系的知識の構築を目指すものである。
この目的を達するためには、学問は政治的に中立でなくてはならない。
たとえば、親中国という政治性を持つ学者たちは、中国がWTO加盟などで国際社会の一員になれば、知財権も守るようになるし、領土的野心も見せなくなると主張していた。
しかし、その予測は完全に外れた。
こういう結果になることは、中国共産党の歴史や政治機構を客観的に分析すれば、十分予想できただろう。
残念ながら自然科学の分野にも政治性は存在する。
原子力推進の学者の中には原子力発電は絶対安全と言っていた学者がいたが、科学的に絶対安全などというものはありえない。
実際、福島第一原発は事故を起こした。
一方、自然エネルギーは環境に優しいと宣伝して研究予算を獲得する研究者も少なくないが、自然エネルギーはそのエネルギー密度の低さゆえ、主要電源にするには広大な面積の開発による自然破壊を伴う[4]。
最近、メガソーラーによる自然破壊が問題視され始めているが、こうした事態は、特定の政治やイデオロギーの色眼鏡なしで見れば簡単に予測できたのである。
この稿続く。