常態化する米中対決―改革開放に立ち返らぬ限り、覇権争いは終わらない―

米中関係は、もはや単なる対立ではなく、技術移転、軍事、国家体制を巡る本格的な対決の時代に入った。
ペンス演説、習近平体制、鄧小平路線からの逆行、そして米国の対中認識の転換を通して、米中覇権争いが長期化・常態化せざるを得ない理由を描く論考である。

2019-05-30
トランプ氏の仕掛けた貿易戦争に始まる、技術移転や軍事を巡る覇権争いは、中国が本格的な改革開放路線に立ち返らない限り、長期化・常態化を免れまい。

以下は今日の日経新聞、「大磯小磯」からである。

常態化する米中対決

よく知られているように、ペンス米副大統領は昨年10月、ハドソン研究所での講演で中国を全面的に批判した。
「ニクソン大統領時代以来の方向を転換する。
経済に限らず全方位で対決する。
メンツを重んじる中国的発想に配慮しない」。
対立ではなく、対決である。
米国が問題視しているのは、中国の国家体質そのものだろう。

政治家・習近平国家主席は2016年に「核心」の称号を獲得し、「習近平思想」を正統化する個人崇拝主義を強化する。
後継者を指定せず、国家主席の任期を撤廃した。
「一尊を定め、一発の銅鑼の音が全体を規定する」と、権威と権力を集中。
監視社会や、共産党による政府支配を進めている。

1971年、ニクソン大統領は電撃的に訪中を宣言。
翌年2月、中ソ離間を狙ってキッシンジャー氏を伴い北京を訪れた。
その後、中国は革命家・鄧小平氏のリーダーシップのもと、新たな方向を探る。
党と政府の分離を図り、政治の制度化を進める一方で、経済の市場化へ舵を切った。
改革開放路線の展開である。
米国も中国の世界貿易機関、WTO、加盟を支持した。

ところが、習氏は、米ソ冷戦後のグローバリゼーションのうねりの中で経済が急拡大したことを背景に、鄧氏以来の歴史を逆転させる。
党を政府の上位に置き、国有企業などの改革も停滞する。
国家資本主義で、米国に代わって先端技術や軍事力の覇権を握ろうとしている。

80年代後半、日本の国内総生産、GDP、が米国の5割を超えると、米国は日本に円高を要求。
輸出自主規制や市場開放、内需拡大、構造改革と激しく攻め立てた。
今もそうだ。
中国のGDPが米国の7割近くに達した今日、共産党主導の特異な体制のまま肉薄する中国に対するナンバー2たたきは、かつての対日以上のものが続くだろう。

中国は、対抗せず、冷戦を戦わずと、時間稼ぎを試みるだろうが、米国では今春、「現在の危機に関する委員会・中国」、CPDC、が発足するなど、ハイテクや軍事力の覇権は絶対に譲らないスタンスだ。
トランプ氏の仕掛けた貿易戦争に始まる、技術移転や軍事を巡る覇権争いは、中国が本格的な改革開放路線に立ち返らない限り、長期化・常態化を免れまい。
(一礫)

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