彼らは何を見てきたのか—アメリカでは国旗への忠誠を教え、日本では日の丸を掲げることすら封じた占領軍の教育改革
占領軍は「神道指令」と教育改革によって、日本精神の排除と日本の歴史の否定を進めた。
その一方で、アメリカでは子供たちに毎日、国旗への忠誠を誓わせていた。
なぜ日本の教育関係者は、この明白な矛盾と偽善を指摘しなかったのかを問う重要な一章である。
2019-05-28
彼らが何を見てきたのか知らないが、アメリカでは国旗に忠誠を誓うにもかかわらず、日本では国旗を掲揚することもできない状況について指摘した人は私の知る限りいなかった
以下は前章の続きである。
第4章 日本の歴史を奪った占領軍の「教育改革」
「日本精神」の排除。
占領軍がやってきた時、第一次世界大戦までの文明国が、戦勝国になったからといって決して行わなかった政策を占領軍は行なった。
一つは「神道指令」。
宗教に対する干渉である。
もう一つは、日本人から歴史を奪ったことだ。
教育によって、日本の歴史を軍国主義で暗いものだと辱めた。
これは東京裁判と歩調を合わせて行なわれ、大東亜戦争のみならず、日清・日露戦争時の歴史まで真っ黒にしてしまった。
これらはアメリカの偽善であると同時に、占領政策としては素晴らしい洞察をもって行なわれたものである。
アメリカの太平洋艦隊司令長官であるスプルーアンス提督が日本に来た時、こんな天然資源もない国がなぜ近代戦を戦えたのかと考えたという。
すると、それは「日本精神」に行き着いた。
そう考えたのはスプルーアンス提督ばかりではない。
アメリカ政府と占領軍総司令部が「日本精神」の排除を占領政策に盛り込んだのが、「神道指令」と日本人から歴史を奪った「教育改革」なのである。
アメリカ人は国旗に忠誠を誓う。
昭和21年(1946)3月、アメリカの教育使節団が日本にやってきた。
そして「日本を民主主義国家にしなければならない」という名目で、日本に教育改革をさせた。
これは、ポツダム宣言にも沿わない行為である。
前述したように、ポツダム宣言の第十項では「日本国国民ノ間二於ケル民主主義的傾向ノ復活強化二対スル一切ノ障礙ヲ除去スヘシ」と言っている。
つまり、ポツダム宣言の時点においては、明治憲法の下で民主主義的傾向があったときちんと理解されていた。
しかし、占領軍としてやってきたアメリカは、日本に民主主義などなかったものとして教育改革を行なっていったのである。
私は当時、すでに中学生だったので経験していないが、小学生は皆、教科書を墨で塗り潰した記憶があるという。
これは、アメリカ人の偽善の極みである。
アメリカの幼稚園、小学校で必ず毎日、胸に手を当てて唱えさせている言葉がある。
「I pledge allegiance to the flag of the United States of America and to the Republic for which it stands, one Nation under God, indivisible, with Liberty and Justice for all」
直訳すれば、「私はアメリカ合衆国の旗、およびそれが代表するところの共和国、神の下における一つの国家であり、分かつことができず、全てに自由と正義を与える国家に忠誠を誓います」というような意味になる。
アメリカの初等教育というものは大した学科の授業をしていないところもあるのだが、これだけは毎日、言わせている。
私はシナ事変が始まった年に小学校に入学し、小学校5年生の時にアメリカとの戦争が始まり、旧制中学校の時に総力戦の時期を迎えた。
全て公立の学校だ。
旧制中学は軍国主義だと言われているが、アメリカのような文句を唱えたことなど一度もない。
戦争が始まってからは毎月8日に「大詔奉戴日」というものがあり、校長先生が宣戦の大詔を読み上げた。
「天佑ヲ保有シ万世一系ノ皇祚ヲ践メル大日本帝国天皇ハ、昭ニ忠誠勇武ナル汝有衆ニ示ス。朕茲ニ米国及英国ニ対シテ戦ヲ宣ス。朕ガ陸海将兵ハ全力ヲ奮テ交戦ニ従事シ、朕ガ百僚有司ハ励精職務ヲ奉行シ、朕ガ衆庶ハ各々其ノ本分ヲ尽シ、億兆一心国家ノ総力ヲ挙ゲテ征戦ノ目的ヲ達成スルニ遺算ナカラムコトヲ期セヨ……」
まだまだ続く。
まことに長いものである。
その時、国旗掲揚をするのだが、雨が降っていれば取りやめになった。
私たちが行なったのは、月一回のこの行事くらいのものだった。
しかしアメリカでは毎日、自国に忠誠を誓う文句を唱えさせている。
そしてアメリカは、自分の国では一番重要だとしている、自国を讃えて忠誠を誓う行為を、教育改革によって徹底的に日本から排除したのである。
当時、日本の教育関係者は大勢、アメリカに行っているはずだ。
彼らが何を見てきたのか知らないが、アメリカでは国旗に忠誠を誓うにもかかわらず、日本では国旗を掲揚することもできない状況について指摘した人は私の知る限りいなかった。
アメリカ人の国旗への忠誠については、日本人駐在員の人などが実際に子供をアメリカの幼稚園や小学校に入れた経験から直接、私に話してくれただけである。
アメリカを訪ねたり、アメリカに留学した教育関係者は、誰もこの重要な点に気づかなかった。
この稿続く。