自民党内のLGBT法推進派の皆さん、古来、同性愛などに寛容だったわが国で、いまさらLGBT法を強力に推す真意は何ですか。
自民党内のLGBT法推進派の皆さん、古来、同性愛などに寛容だったわが国で、いまさらLGBT法を強力に推す真意は何ですか。
2023年02月18日
有本香氏 LGBT政局より憲法改正を急げ 安倍元首相が懸念…社会秩序が壊され、子供が犠牲になる 「心は女」の男性が女性スパに入って事件となった話も
https://news.yahoo.co.jp/articles/4492da1694855db19d564bdbc8b86205431cf29e
【有本香の以読制毒】
最近の永田町では、「LGBT(性的少数者)が政局になる」などという、信じられない話が聞かれる。そんななか、自民党の茂木敏充幹事長が15日、「(LGBT議員立法について)なるべく早く国会提出することが望ましい」と述べたと報じられている。
このニュースに対し、「憲法改正が先でしょうに」と私はツイッターでツッコミを入れたが、安倍晋三元首相なき自民党の行方がいよいよ心配になってきた。
茂木氏の発言を伝えるNHKのネット記事には、次のように書かれてある。
「LGBTの人たちへの理解を増進するための議員立法は、おととし、自民党内で意見がまとまらず、国会への提出が見送られ、自民党は、党内の一部で反発が根強い『差別は許されない』という文言の修正を模索…」
このくだりを読んで、「おととし」のある日、安倍氏と交わした会話を思い出した。
2021年の初夏、私は議員会館の安倍事務所を訪れた。いつものように、応接室ではなく執務室に通された。そのとき、安倍氏は、私の取材とは関係のないある話題を切り出した。自民党内で紛糾していたLGBT法案についてだった。
「これは、もはやLGBTへの偏見をなくそうという運動じゃなく、世界的な政治闘争になっているよね。米国でティーンエージャーに何が起きているかを知るべきなんだよ」
いつものことなのだが、私は安倍氏の見識の広さに驚かされた。
米国の一部地域ではいま、10代の子らの間で「ユニークな性自認」をカムアウト(=性的指向を公表すること)し、その「心の性」に従って生きることが〝流行って〟いる。
例えば、肉体的には女子である子が、ボーイッシュな服装や荒っぽいスポーツが好きだとする。その子がさらに女子を思慕するに至り、「私、他の子と違う気がする。実は女子じゃないのかも」などと思う。それが高じて、「私、本当は男だったんだわ」と言い出す。
カムアウトだけで済めばいいが、「私、名前変えたい」と言い出しても、親は子供を止められないのだという。さらに、10代の子が「体も変えたい」とホルモン注射などを望んでも、親がそれを阻止するのは容易でない。
そんな他国の現状を、日本の多くの大人が知らない。自民党議員も大半が「差別・偏見はいけないよね」程度の認識だろう。しかし、安倍氏はよくご存じだった。
「思春期の頃、同性に憧れるなんてよくある話でしょう。おまけに性への興味がとても強い時だよね。そんな子供たちに、同性どうしの性を学校でまで教えるというのは、やり過ぎだと思うんだよね」
こんな話を明かすと、LGBT法推進派からは、「法案にそんなことは書いていない」と反論があるだろう。しかし、安倍氏が語ったのは「蟻の一穴」への懸念だ。
誤解なきよう明言するが、安倍氏には同性愛者やトランスジェンダーへの偏見など微塵もなかった。ただ、案じていたのは、社会秩序がいたずらに壊され、子供たちがその犠牲となることだ。
「性自認の危険性」についても話した。「心は女」の男性が女性スパに入ってきて事件となった話を安倍氏に向けると、こう言った。
「そんな事件も今後起こりかねないね。大人はともかく、その場に遭遇した子供が負う心の傷は深いよ」
さらに、「これ、かつての人権擁護法案の形を変えたものになりかねない」という懸念も寄せていた。
ろくに定義もされない「差別」が独り歩きし、「差別禁止」の〝棍棒(こんぼう)〟で国民の内心の自由まで、ボコボコにされかねない。
自民党内のLGBT法推進派の皆さん、古来、同性愛などに寛容だったわが国で、いまさらLGBT法を強力に推す真意は何ですか。いま最優先すべきはやはり、安倍氏の悲願だった憲法改正ではないのですか。
■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。