北京の言い分を日本の電波で垂れ流すテレビ局の不見識

2020年1月10日発信。
月刊誌『正論』の「メディア裏通信簿」から、BS日テレ「深層NEWS」で取り上げられたウイグル問題をめぐる議論を紹介する。
在日ウイグル人の悲痛な訴え、中国側学者による「職業再訓練センター」擁護、日本のテレビ局が北京の言い分をそのまま流す問題、そして習近平氏の国賓招聘をめぐる日本メディアと国会の沈黙を厳しく批判する。

2020-01-10
日中で何かゴタゴタがあると、彼はテレビ各局を渡り歩いては北京の言い分を日本の電波で発信する役割を負っている、有名な中国人学者の一人だよ。
以下は、今、発売中の月刊誌正論、メディア裏通信簿、からである。
中国は人間としての問いに誠実に答えよ!
先生 
BS日テレが十二月五日、ウイグル人の問題を取りあげた。
今日はこの話から始めよう。
辛坊治郎氏がアンカーを務める「深層NEWS」に在日ウイグル人、アフメット・レテプ氏と中国社会科学院教授で福井県立大学、凌星光名誉教授か出てきて“対決”していた。
なかなか見ごたえがあったが、見たか?
女史 
見た見た。
評論家の石平さんやキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦さんもいたけど、凌さん、終始ボコボコにされてたよね。
編集者 
ウイグル人が大量に収容されている「強制収容所」の写真を示されても凌氏は「職業再訓練のセンターです」。
涼しい顔でうそぶいていましたが、辛坊氏にまで「こりゃあ、どうみても刑務所ですよ!」と、突っ込まれてタジタジになってた。
凌さん、最初は「私は北京の回し者です!」って顔に書いてあるようなふるまいだったんだけど、周囲の“猛攻撃”に撃沈に次ぐ撃沈で、ついには「改善すべきところもある」ですって。
「改善じゃないよ、ヤメなきゃ!」つて突っ込みたくなりましたけど。
女史 
凌さんも、ちゃんと「回し者」としてふるまう姿をテレビで見せとかないと、中国に戻ったら、自分の身に危険が迫るんでしよ。
どんなに白々しくても、そうふるまう以外ないんだろうね、きっと。
先生 
彼は中国社会科学院の所属で、むしろ「当局者」であり、当事者に近い。
この問題に限らないが、日中で何かゴタゴタがあると、彼はテレビ各局を渡り歩いては北京の言い分を日本の電波で発信する役割を負っている、有名な中国人学者の一人だよ。
問題は、彼のウソを悪びれもせず、そのまま垂れ流す、不見識なテレビ局だとオレは思うぞ。
「深層NEWS」はまだ頑張っていたからいいが、彼が出てきて自説を延々と展開してお終い、なんて局もあるからなあ。
編集者 
つまり相手の言い分を垂れ流すことで外国勢力に加担してるってことですよね。
先生 
そう。
彼はいわば「テレビ各局御用達」の「お約束の人」なんだよ。
彼だけじゃないけどね。
東洋学園大学教授の朱建栄なんかもそうで、彼なんて中国に帰国したときに、身柄拘束されたなんてこともあっただろう。
女史 
「強制収容所」…じゃなくって「職業再訓練センター」でやっていることだって「中国語を勉強すること、二つ目が法律の勉強で、三つ目が職業訓練、三段階で過激派の思想をのぞいていく」とか堂々と言ってんだよね。
それって「私たち思想統制、思想改造やってま~す」って認めたようなもんじゃない! 
職業訓練を通じた過激派の思想の除去…にしてもそうで、それって一体どんな職業訓練なんだろ、もう意味わかんない。
喋っている内容だけでも十分ひどいし、アウトじゃん。
何でそれで誤魔化し切れたような涼しい顔できるんだろ? 
理解不能。
先生 
一方、在日のウイグル人の悲痛な叫びは、胸が痛むものだった。
大体、彼のお父さん、農業を営みながら子供を育て、七十歳を迎えた高齢者なのに、何で今さら「職業訓練」なんだよと食い下がっていた。
凌も説明がつかないから、最後は泣きそうな顔していたなあ。
女史 
たださ、こういう番組を地上波テレビでこそ、もっとやらないと。
正論で取りあげた漫画家、清水ともみのウイグル人の惨状を描いた漫画だってNHKは取りあげていた。
けど、それってラジオなんだよね。
地上波テレビじゃ「中国に不都合なこと」には触れないつもりかな。
編集者 
清水さんの漫画についていえば、日テレの「スッキリ!」が取材して、清水さんも関係者に告知して放送を心待ちにしていたのに、当日になってパーになってしまった。
まあ、生番組だし編成が時々刻々変わるのは仕方ないけど、とてもスッキリしてない話でした。
女史 
以前はもっと露骨な中国への配慮が見られたんだよ。
TBSの「筑紫哲也のNEWS23」なんて映画「セブン・イヤーズ・イン・チベット」を、なんと「中国政府によるチベットの自治権拡大を描いた映画」と紹介したことがあったしね。
実際の映画は中国によるチベット侵攻を描いているのに「侵略」という言葉は使いたくなかったんだろうねえ。
忖度もいいとこ。
今と違って、ネットも発達してなかったから、突っ込まれて炎上劇なんてことはなかったけど、今じゃ中国への忖度や気遣いは、瞬時にネットで駆け巡るでしょう。
メディアの姿勢は相変わらずだけど、少し状況は良くなっているんじゃないかな? 
先生 
それはどうかな。
映画「空母いぶき」では、原作は二〇XX年に中国の工作員が沖縄県の尖閣諸島に上陸、事態がエスカレートして中国人民解放軍が先島諸島を占領し、日中の武力衝突が起こる、という話だった。
それが映画では、全然違う話に改変されていた。
中国に厳しい話をスポンサーは嫌う傾向にあって、それが影響して、こんなことになったらしいぞ。
決して状況が好転しているとはオレには思えない。
編集者 
確かに人類史に残るような無茶苦茶な人権侵害が、今正に現在進行形なのに、メディアもあまり盛り上がらない。
国会では非難決議すらない。
それどころか、弾圧している中国の国家主席を国賓として招くというんでしょう。
教授 
そうですね。
真面目に向き合っておらず、見て見ぬふりしている。
由々しい事態ですよ。
中国の顔色をうかがう空気はますます支配的になって、これから、中国の覇権が強まるにつれて言論空間はもっと息苦しいものとなっていく。
そういうヤな予感がありますね。
編集者 
さっきも出てきた清水さんの漫画は、共同通信も配信して、これは結構拡散していた。
だけど、他の大手メディアはなあ。
安倍晋三首相の記者会見で習近平氏を国賓で招くことを質していたのは、何と外国メディアのみだったでしょう。
首相の回答なんて明らかに不十分なのに、誰も食い下がってなかった。
惨憺たる状況ですよ。
先生 
国賓となると、天皇陛下が頭を下げる話になるし、天安門事件の後、上皇陛下が訪中されましたが、それが中国に利用されてしまった苦い経験があるだろ。
ふだん「人権人権」といっている奴らは、今のこの圧倒的人権蹂躙をスルーするつもりか。
いかがわしいぞ。
この稿続く。

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