雲の表情、港町の陰影|梅田北ヤード・福山・岡山・広島・尾道|ラフマニノフ交響曲第1番

2026年5月30日夕刻の梅田北ヤード。
台風の影響だったのだろうか。
梅田北ヤードの空に現れた雲の表情は、尋常ではないほど見事だった。
それは異様な空ではない。
自然の見事さが、都市の上空に現れた美しい雲の表情であり、空だった。
その空を見た時、私は、これはラフマニノフの交響曲第1番に合う、と思った。
本作品は、2026年5月30日夕刻の梅田北ヤードの写真と、2024年8月・9月に撮影した福山、岡山、児島、広島、尾道の写真を厳選して構成した写真集である。
音楽には、ラフマニノフ交響曲第1番を約25分使用した。
ラフマニノフの交響曲第1番には、若き作曲家の暗い情熱、運命感、不安、激しい推進力、そして深い孤独がある。
第1楽章には、梅田北ヤードの雲と都市の緊張を重ねた。
高層ビルの上に広がる美しい雲。
夕刻の光。
都市の沈黙。
それらは、ラフマニノフの冒頭にある重厚な運命の気配と響き合っている。
第2楽章には、福山、岡山、児島、広島、尾道を置いた。
城、海、港、坂道、路地、街の光。
そこには、梅田北ヤードとは違う陰影がある。
尾道の坂。
広島グランドプリンスホテルから見た瀬戸内海。
児島の海と光。
福山と岡山の歴史の気配。
それらは、ラフマニノフの音楽が持つ、神経質な動き、翳り、そしてどこか切迫した旅の感覚に重なった。
これは、単なる風景写真集ではない。
梅田北ヤードの雲の表情から始まり、港町と歴史の街へと移って行く、音楽と写真による一つの旅である。
2026年6月4日、私は大阪フィルの定期演奏会で、ラフマニノフ交響曲第1番を聴く。
その前に、この作品を作っておきたかった。
演奏会を聴く前の、私自身のラフマニノフへの準備として。
梅田北ヤードの空。
福山、岡山、児島、広島、尾道の記憶。
ラフマニノフの暗い情熱。
それらが、一つの作品となった。
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