コロナ報道から演出を排せ――テレビのワイドショー化が国民の冷静さを奪う

産経新聞掲載の酒井信彦氏のコラムを引きながら、新型コロナウイルス報道におけるテレビの過剰演出、ワイドショーのタレント発言、感情的なナレーション、不安を煽る背景音楽の問題を批判する。深刻な問題ほど冷静かつ淡々と事実を伝える報道姿勢が必要であると論じる。

2020-04-19
ワイドショーにはいわゆるタレントも出演して勝手な感想をしゃべっているが、医学の専門家でも異なった見解があるのだから、タレントの存在は全く無用というより有害であろう。
以下は、今日の産経新聞に、コロナ報道、テレビは演出排せよ、と題して掲載された、元東京大学史料編纂所教授、酒井信彦の連載コラムからである。
文中強調は私。
新型コロナウイルス問題の報道で、テレビが大きな影響力を及ぼしている。
本欄は新聞批判の欄であるが、民放テレビのキー局は、新聞社と密接な関係にあるので、ここで取りあげることにする。
テレビには、コロナウイルス問題に関して実に大量の情報が流されている。
ワイドショーにはいわゆるタレントも出演して、勝手な感想をしゃべっているが、医学の専門家でも異なった見解があるのだから、タレントの存在は全く無用というより有害であろう。
ワイドショーは言わずもがな、純粋のニュース番組においても問題があると思う。
私はかなり以前から、特に民放のニュース番組の変化がとても気になっていた。
それはニュースの報道に、しきりに演出の傾向が見られるようになってきたからである。
用意された原稿を読み上げて事実関係を伝えるニュースを「ストレートニュース」というが、以前はすべてこのスタイルだったと記憶する。
それがいつしか過剰な演出が施されるようになった。
テレビであるから、映像に関しても問題はあるのだが、この際、私が注目したいのは映像の部分より、音声の部分説明で、アナウンサー以外の「ナレーター」が多用されるようになった。
*これはNHKも同様である*
しかもその調子が、盛り上げようとするためか、極めて情緒的、感情的である。
つまりオーバーな表現になっている。
もう1つは背景音楽、つまりバックグラウンドミュージックである。
暗いニュースの場合には、不安感をあおるような不気味な音楽が使用される。
以上のようなテレビのニュース報道の劣化が、いっそう顕著に表れたのが、今回のコロナウイルスの報道である。
そもそも、深刻な問題であればあるほど、冷静に淡々と報道しなければならない。
過剰な演出が加わると、それはドラマチックになって、かえってリアリティーが失われてしまい、本来持つべき警戒心も損なわれてしまう。
テレビのスタジオは、「3密」の典型的な空間であったが、3月末ごろから急に離れて座るようになった。
つまり、それ以前は本気で取り組んでいなかった証拠である。
コロナウイルス問題が、当初よりかなり長期化せざるを得ないと予想される現在、テレビメディアには、演出を排した、一層冷静な報道姿勢が求められる。

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