『エッセンシャル・キリング』の曖昧さと極限――イェジー・スコリモフスキが語るヴィンセント・ギャロと俳優という仕事
2011/6/9…演技して稼ぐほど楽なことはないね…Newsweek 6月15日号から
長いキャリアを誇る監督で、俳優としても多くの作品に出演するポーランドのイェジー・スコリモフスキ。
最新作は、米軍捕虜となった男の極限の逃亡劇『エッセンシャル・キリング』だ。
昨年のベネチア国際映画祭で審査員特別賞、主演のビンセントーギャロが最優秀男優賞を獲得した本作について、本誌・大橋希が話を聞いた。
-主人公はタリバン脱走兵?
映画のカギは曖昧さだ。舞台がパキスタンなのかイラクなのかも、主人公がテロリストか無害な人物なのかも分からない。
1つだけ確実なのは彼がタリバンではないこと。もしそうなら黒いターバンを巻いている。
<中略>
脚本が完成した頃、カンヌ国際映画祭でビンセントに会った。私の前を歩く彼は何かがおかしい、すごく動物的な歩き方をしているんだ。それでひらめいたんだ。ビンセントがというより、この動きがあの役には必要だと。
脚本を読んだ彼は「僕はこれをやるべきだ」と熱心に言ってくれた。バフアロー(ニューヨーク州)出身だから寒さには慣れている、雪の上をはだしで走るのも大好きだと言っていた。
-あなたは役者としてもいろいろな作品に出ているが。
演技して稼ぐほど楽なことはないね(笑)。