秋、過ぎゆく時が歌になる――110枚の写真と村田夏帆、ローマの歴史的名演《憂鬱なセレナード》|4K

過ぎ去った一日は、二度と帰ってこない。
けれど、その日に出会った美は、写真の中で生き続ける。
2026年10月22日に撮影した88枚と、10月21日に撮影した22枚。
二日間の110枚に、村田夏帆が2025年、ローマのリサイタルで奏でたチャイコフスキー《憂鬱なセレナード》を重ね、4Kの映像作品にした。
あのリサイタルは、すべてが歴史的な名演だった。
前作では、京都府立植物園の188枚に、イザイ《無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第4番》を重ねた。
今回は、秋の二日間を、チャイコフスキーの歌に託す。
《憂鬱なセレナード》。
その題名にある憂鬱を、私は、ただ暗い感情としては受け取らない。
美しいものに出会ったとき、その美しさが永遠には続かないことを、私たちはどこかで知っている。
だからこそ、立ち止まる。
だからこそ、耳を澄ます。
だからこそ、私はシャッターを切る。
夏帆のヴァイオリンに耳を澄ましていると、言葉になる前の思いにも、これほど豊かな声があるのだと感じる。
懐かしさも、切なさも、胸の奥にしまっていた思いも、音楽の中では、それぞれの居場所を持つ。
写真に写っているのは、目の前にあった世界である。
しかし、音楽とともに見つめると、そこには、写っていないはずの時間まで立ち現れる。
2025年のローマ。
2026年10月の、私がカメラを手にした二日間。
異なる場所、異なる時間に生まれたものが、いま、一つの作品の中で出会う。
110枚は、私がこの世界を見つめ、心を動かされた110の瞬間でもある。
その瞬間に、夏帆の音楽が、さらに深い呼吸を与えてくれる。
秋は過ぎてゆく。
けれど、過ぎてゆくものを愛した心まで、消えてしまうわけではない。
写真に留めた二日間を、この演奏とともに、世界中の人々へ届けたい。
見終えたあと、皆さん自身の大切な一日が、ふと心によみがえることを願って。
撮影日:2026年10月22日(88枚)、10月21日(22枚)
写真:計110枚
写真・映像制作:MIKIO KISARA
ヴァイオリン:村田夏帆
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー《憂鬱なセレナード》作品26
演奏:2025年、ローマで開催されたリサイタルより
画質:4K

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